ブックタイトルジョーシキ!腎生検電顕ATLAS

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概要

ジョーシキ!腎生検電顕ATLAS

82各 論足細胞嵌入糸球体症ネフローゼ症候群を呈する非免疫複合体型ネフローゼ関連疾患群の中に足細胞嵌入糸球体症podocytic infoldingglomerulopathy があげられる.この糸球体症は光顕PAM 染色にて点刻像を認め膜性腎症に類似している.しかし,電顕像では,膜性腎症にみられるような免疫複合体由来の高電子密度沈着物はまれで,足細胞の脚突起が糸球体基底膜に陥入し(一次陥入),その先に細胞質膜の二重膜構造(unit membrane)をもった小球状ないし小管状微小構造物(二次陥入)がみられ,PAM 染色での点刻像に相当する所見とみなされる(図2-7).糸球体基底膜内の微小小管状ないしは球状構造物の由来は,糸球体基底膜内に足細胞が一次性に陥入したもの,さらに一次性に陥入した足細胞突起から発芽的に分岐した微小小管状ないしは球状構造物で,部分的には足細胞の細胞質突起が崩壊したため足細胞から分離して糸球体基底膜内に遊離している可能性がある(図2-8).特に,免疫グロブリンimmunoglobulin(Ig),補体complement が陰性の膠原病非関連症例は原発性の足細胞陥入糸球体症とみなされる.背景疾患としてループス腎炎lupus nephritis やFSGS にみられることがあるが,背景疾患を伴わない一次性の症例もある 8).一次性に嵌入した足細胞突起から発芽的に分岐した微小小管状ないしは球状構造物を認めるType B(図2-8)そして,Type C では一次性陥入を伴わず足細胞突起から微小小管状構造物が糸球体基底膜に嵌入している(Type C は総論の図2-14 を参照).また,小球状物が基底膜内にびまん性に散在する症例もある(図2-9).それらの小球物はunitmemebrane に囲まれている 9).トピックス7Type Apodocyte podocytepodocyteendothelendothelGlomerular Basement Membraneprimary infoldingspikePrimary infolding+microstructures in the GBMspike+bubblingMicrostructuresin the GBMbubblingType B Type C図2-7 足細胞嵌入糸球体症の病型のシェーマType BとType C が本来の足細胞嵌入症に該当する,Type Aは膜性腎症Stage 2にもみられる.(文献8)より)