臨床腎臓内科学

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概要:
臨床腎臓内科学

■ XVI. 腎疾患の症候と検査9762.もう少し拡大を上げて(100?200 倍),病変の性質や分布を頭に入れる.3.再度弱拡大に戻し,プレパラートに載っている連続切片のうち,最も薄く切れている切片をカウント用(個々の糸球体の病変の分析)に選ぶ.ただし,病変の頻度や分布が切片によって異なる場合は,切片が少々厚くても病変が最も多くみられる切片を選ぶ.4.強拡大(400 倍)にして,個々の糸球体について病変の有無,広がりを分析する.これをカウントと呼ぶ.この際に,小さめの小葉間動脈や細動脈病変も評価する.病変の評価の判断に迷うときは可及的に連続切片を観察し判定する.5.統合:弱拡大で把握した病変の主座と強拡大で詳細に分析した糸球体病変の評価を統合して,正しい組織診断をする.3 異常の見かたのポイント? 腎臓の構成要素腎臓は糸球体,尿細管,間質,血管の4 つの構成要素からなっている(図XVI-5-2).? 糸球体の構造糸球体は毛細血管が多数枝分かれしたものであり,Bowman 嚢で囲まれている.毛細血管壁を係蹄壁ともいう.糸球体係蹄壁は,基底膜,基底膜の外側にある上皮細胞(足細胞),内側にある内皮細胞からなる.糸球体係蹄はメサンギウム領域という支持組織に支持されており,メサンギウム領域にはメサンギウム細胞とそれを取り囲むメサンギウム基質がある.Bowman 嚢の内側にはBowman 嚢上皮が並んでいる(図XVI-5-3).? 病変の広がりについての用語1 腎実質全体を見渡す場合(図XVI-5-4)・びまん性diffuse間質・尿細管病変:病変が組織のほぼ全体に広がっている場合を指す.多くの場合,病変が得られた組織の面積の50% 以上を占めるときにこの用語を使う.糸球体病変:大部分の糸球体に病変がみられる場合を指す.多くの場合,得られた糸球体のうち50% 以上の糸球体に病変がみられるときにこの用語を使う.・巣状focal間質・尿細管病変:病変が組織の一部に限局している場合を指す.多くの場合,病変が得られた組織の面積の50% 未満のときにこの用語を使う.糸球体病変:一部の糸球体にしか病変がみられない場合を指す.多くの場合,得られた糸球体のうち50% 未満の糸球体にしか病変がみられないときにこの用語を使う.2 1つの糸球体に着目した場合(図XVI-5-5)・全節性global病変が糸球体のほぼ全体に広がっている場合を指す.多くの場合,病変が糸球体面積の50% 以上を占めるときにこの用語を使う.・分節性segmental病変が糸球体の一部にしかみられない場合を指す.多くの場合,病変が糸球体面積の50% 未満のときにこの用語を使う.? 糸球体病変糸球体腎炎は原発性,続発性に分けられる.1 原発性糸球体腎炎糸球体病変の基本パターンを図XVI-5-6 に示す.糸球体病変の着眼点は細胞増殖および基底膜肥厚の有無の2 点である.細胞増殖がある場合,増殖する細胞によって管内増殖,メサンギウム増殖,管外増殖(半月体)の3 種類に分けられる.これらの組み合わせにより原発性糸球体腎炎の場合,6 つの基本パターンに分けられる.これに,間質血管尿細管糸球体■図XVI-5-2 腎組織の構成要素;光学顕微鏡弱拡像