臨床腎臓内科学

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臨床腎臓内科学

検査― 4. 腎生検 ■975腎生検とは,種々の臨床兆候を示す患者の腎臓の組織を採取し,腎疾患の確定診断をすることであり,その目的は予後や治療効果の予測と治療法の決定である.腎生検診断は光学顕微鏡,免疫染色法,電子顕微鏡の3 つの方法で行う.1 解釈のための指標1 染色法(図XVI-5-1)? HE(hematoxylin eosin)染色病理ではHE 染色が基本であるが,腎生検ではあまりみられない.ただし浸潤細胞の種類などを見るにはHE 染色が適している.? PAS(periodic acid shiff)染色基底膜がくっきりと染まる.腎生検診断ではこの染色が中心となる.? PAM(periodic acid methenaminesilver)染色コラーゲンが黒く染まる.したがって基底膜がよりくっきりと染まる.? MT(Masson trichrome)染色細胞成分は赤,線維成分が青色に染まる.間質線維化の広がりを判断する際に適している.移植腎生検診断で重宝する.2 見る順番1.まず,弱拡大(40 倍)で次の点を評価する.① 皮質:髄質比を見ることで“サンプルが適切か否か” を判断する.② 全体を見渡し,“病変の主座はどこにあるか” を見る.③ 間質・尿細管病変の広がりを評価する.④ 大きな血管(弓状動脈レベル,小葉間動脈の太い部分)の病変の有無と程度を評価する.(A) (B) (C)(D)■図XVI-5-1 腎生検光学顕微鏡診断に必要な基本的染色法(A) HE 染色 腎生検ではあまりみない.浸潤細胞の種類など細胞を見るときは有用.(B) PAS 染色 基底膜がくっきりと染まる.腎生検診断ではこの染色が中心となる.(C) PAM 染色 コラーゲンが黒く染まる.よって基底膜がよりくっきりと染まる.(D) MT 染色 細胞成分は赤,線維成分が青色に染まる.間質の線維化の広がりの把握に適している.4 検査腎生検