臨床腎臓内科学 page 4/10
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概要:
臨床腎臓内科学
検査― 3. 腎機能の評価 ■9491 クリアランスとは?腎臓の構成単位はネフロンで,糸球体と尿細管から構成されている.糸球体では濾過,尿細管では再吸収や分泌が行われるが,これらの過程を腎臓全体として簡単に把握するのにクリアランスの概念が有用である.ある物質x が腎臓から尿中に排泄されるとき,尿中濃度をUx,単位時間当たりの尿量をV とすると,単位時間に尿中に排泄されるx の量はUx・V である.x の血漿濃度をPx とし,x の単位時間当たりの尿中排泄量に等しい血漿量をCx とすると,Px・Cx=Ux・Vの式が成り立つ.これより,Cx=Ux・V/Pxと表すことができる.このようなCx を物質x の腎クリアランスという.言い換えれば,腎クリアランスとは,ある物質が溶解している血漿量が単位時間にどの程度腎臓から除去(清掃)されるかを示す指標である.以下,この概念を用いて,糸球体濾過量,腎血漿流量,尿細管での再吸収と分泌,尿の濃縮と希釈など腎機能の概略を知る方法とその評価について述べる.2 糸球体濾過量(GFR)(図XVI-3-1(A))糸球体で自由に濾過されるが,尿細管では再吸収も分泌もされない物質a があると仮定する.aの血漿濃度Pa,尿中濃度Ua,単位時間当たりの尿量V より,前述の式から,Ca=Ua・V/Paとなる.この物質a の腎クリアランスCa をGFRという.このような物質がイヌリンである.GFRは身体の大きさにより変わるので,通常標準体表面積当たりで換算して表現する.標準体表面積として1. 73 m2 が使用されている.1 イヌリンクリアランスイヌリンは,果糖からなる多糖類の一種で,分子量5. 2 kDa の外因性物質である.血管内に投与すると,血漿蛋白とは結合せず,糸球体で自由に輸入細動脈輸出細動脈糸球体(A)尿細管尿Ua ・ VGFR=Ua ・ V/Pa傍尿細管毛細血管Pa(B)Ub ・ VRPF=Ub ・ V/PbRPFPb(C)Uc ・ VTRR=Pc ・ GFR-Uc ・ VTRRPc(D)Ud ・ VTSR=Ud ・ V-Pd ・ GFRTSRPd■ 図XVI-3-1 クリアランス法による糸球体濾過量(GFR)(A),腎血漿流量(RPF)(B),尿細管再吸収量(TRR)(C),尿細管分泌量(TSR)(D)の測定原理3 検査腎機能の評価