臨床腎臓内科学

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概要:
臨床腎臓内科学

4711 尿細管間質の構造と機能すべての尿細管は,尿細管上皮細胞と基底膜から構成されている.尿細管は糸球体とともにネフロンの構成単位であり,その構造と機能から,近位尿細管,Henle ループ,遠位尿細管,そして集合管とに分けられる.腎臓の間質は腎臓の中で糸球体および尿細管からなるネフロン,血管,およびリンパ管を除いた構造を指す.尿細管基底膜,Bowman 嚢基底膜,そして血管基底膜に囲まれた部位で,線維芽細胞や樹状細胞などの細胞成分とコラーゲンをはじめとした構造物から構成されている.腎生検組織では間質は尿細管の間のわずかな領域で,正常の場合には構成成分をはっきりと見ることはできない.腎生検標本で見ると腎臓のほとんどは尿細管で占められている.尿細管は糸球体で濾過された原尿から必要な物質を再吸収し,不要な物質を分泌により体内から取り除くという,体液恒常性の維持のための中心的な役割を演じている.尿細管各部位での細胞の構造はそれぞれ異なっており,部位により独自の機能がある.間質も多彩な機能を有し,主たるものは糸球体,尿細管,血管・リンパ管の支持と,尿細管と血管・リンパ管との間の物質輸送の仲介を行っている.尿細管・間質はその多彩な働きにより腎機能維持の中心的役割を担っており,尿細管・間質の障害度はGFR ともよく相関することが知られている.2 尿細管間質疾患尿細管と間質の病変は相互に影響し,両者の機能的・形態的障害は共存するため,両者の障害は区別できない.したがって,尿細管と間質の疾患は一括して尿細管間質疾患として扱われている.腎臓の構造上,糸球体疾患や血管系の疾患,さらに下部尿路疾患からの障害が容易に波及するため,これらの障害に伴って二次的に尿細管間質疾患がみられる場合も多い.尿細管・間質に直接障害が加わって病変を生じた場合は,一次性尿細管間質疾患と呼ばれる.この一次性尿細管間質疾患には,尿細管間質性病変のみの場合とSjogren 症候群のように全身性疾患の部分症としてみられるものとがある.■表VII-1-1 尿細管間質疾患の枠組み原 因 特発性 薬剤性 その他(表VII-1-3 p. 473 参照)一次性か二次性か 尿細管・間質自体の疾患 糸球体・血管障害および下部尿路系疾患の波及 全身性疾患の部分症機能的診断名(尿細管機能が主体) 腎機能全般の障害;AKI,CKD ステージ 近位尿細管機能  腎性糖尿病,II 型(近位型)RTA,Fanconi 症候群など 遠位部尿細管機能  腎性尿崩症,I 型(遠位型)RTA など病理学的診断名 AIN CIN ATN 肉芽腫性尿細管間質性腎炎 その他症候群的診断名 Fanconi 症候群 Liddle 症候群 Bartter 症候群 Gitelman 症候群 その他経 過 急性 慢性1 尿細管間質疾患総論