ブックタイトル対話で学ぶ腎不全と透析療法の知識 4版

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対話で学ぶ腎不全と透析療法の知識 4版

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対話で学ぶ腎不全と透析療法の知識 4版

23913透析療法の進歩と新しい知識のです.β2-MG の除去効果とともに関節痛,関節可動域の拡大,関節のこわばりがとれると報告されています.しかし使用にあたっては次の3 つの条件を満たす患者にしか応用できません.つまり①手術あるいは生検によりβ2-MG によるアミロイド沈着が確認されていること,②透析歴が 10 年以上で,以前に手根管開放術を受けていること,③画像診断により骨嚢胞像が認められるという条件です. まだ問題点は多く,アミロイドーシスは患者さんの QOL を阻害する大きな合併症であることには変わりはないでしょう.体内に貯留したものを除去するだけではなく,予防的な治療法が必要といえます.このためβ2-MG の産生を促進するような因子をできる限り取り除くことが大切なのです.β2-MG を除去する効果があるというハイパフォーマンス膜を血液透析あるいは透析濾過法に用いた場合に,透析液側からエンドトキシン(ET)が逆に流入する(逆拡散)ことが知られています.透析液がもしも不純な場合には,このエンドトキシンが体内に流入して,β2-MG の産生を刺激するということになるのです.そのエンドトキシンが体内に入ると,死亡するようなことになるのですか.それでは透析患者さんはハイパフォーマンス膜というβ2-MG を除去する効果のある膜を使用しても何の意味もなくなってしまうことになりませんか?ですから透析液の清浄化には十分注意することです.不純な透析液を centralsupply から供給している透析施設では患者に集団的に発熱の出現,感染症の原因になりかねないことになるのです.このため水道水は逆浸透装置などの水処理装置により完全な純水とし,さらにエンドトキシンを除去するフィルタを設置することが必要になります.定期的に消毒を十分に行い,このようなエンドトキシンが体内に入らないような処置をとることが必要なわけです.特に透析液を補充液とするon-line HDF の方法では透析液の厳しい水質基準が決められていますね(表13-1).N仁内透析用水・細菌数 100 CFU/mL 未満・ET 0.050 EU/mL 未満標準透析液(standard dialysis fluid)・細菌数 100 CFU/mL 未満・ET 0.050 EU/mL 未満超純粋透析液(ultra-pure dialysis fluid)・細菌数 0.1 CFU/mL 未満・ET 0.001 EU/mL 未満(測定感度未満)表13-1 透析液水質基準(生物学的汚染基準の到達点)透析液由来オンライン調整透析液(オンライン補充液,on-line prepared substitution fluid)・無菌かつ無発熱物質(無エンドトキシン)・細菌数 10?6 CFU/mL 未満・ET 0.001 EU/mL 未満(測定感度未満)(日本透析医学会:透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準2008.透析会誌41(3):159,2008)注)上記基準のアクションレベル(汚染が基準値より高度になる傾向を防ぐために措置を講じる必要がある汚染度)は施設の汚染状況に合わせて設定されるが上限値の50 %と定める.