ブックタイトル対話で学ぶ腎不全と透析療法の知識 4版
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対話で学ぶ腎不全と透析療法の知識 4版
1116長期透析患者の主要な合併症 以上のようなさまざまな因子がありますが,透析治療を開始すると食事療法も変化し,栄養的な面からも改善することから,一般的に貧血は軽減することになります.貧血の改善に最も影響の大きかったのは EPO が臨床的に使用されるようになったことでしょうね(表6-1,2).??エリスロポエチン貧血の治療に EPO が使用されていますが,この治療法について教えてください.EPO が遺伝子工学的に作られ,臨床応用されるようになってから,20 年以上になりますね.最近は作用時間の異なる製品も作られています.腎不全の貧血の主要な原因がEPO の欠乏にあるわけですから,腎不全患者にこれを投与すれば貧血が改善することは当然ともいえます.今までの経験から投与量が十分であれば,ほぼ 80 %近くは貧血の改善が期待できます.初回投与量として週あたり 4, 500 単位( 1 回 1, 500 単位)を投与するのが一般的です.2 ? 3 週後にヘマトクリット値は上昇し,30 %程度の改善が得られることになります.そのようなすばらしい効果が得られるのですか(表6-3).そうなると貧血の問題はもう解決したようなものですね.NDrN1.EPO 欠乏 ・EPO 産生に関係する近位尿細管周囲の間質線維芽細胞の障害 ・酸素センサの障害 ・EPO 遺伝子の転写調節機構の不均衡 ・炎症性サイトカインによる産生抑制2.赤血球産生の抑制 ・造血抑制因子(尿毒症性物質,ポリアミン,副甲状腺ホルモン,など) ・炎症性サイトカインによる造血抑制と鉄の利用障害3.赤血球寿命の短縮 ・溶血性因子(グアニジン,フリーラジカル,解糖系の障害,など) ・Neocytolysis4.その他 ・失血,薬剤,栄養障害(ビタミン,微量元素,鉄,カルニチン)など表6-1 腎性貧血の原因・尿毒症毒素の除去:十分な透析・透析液の清浄化:エンドトキシンの除去・栄養状態の改善:カロリー,タンパク質,ビタミン,鉄,微量元素,カルニチンなど・鉄剤の投与・輸血・出血性病変の治療・感染症,悪性腫瘍などの治療・過剰採血の防止・貧血に影響する薬剤の投与中止・EPO の投与表6-2 腎性貧血の治療方針