ブックタイトル対話で学ぶ腎不全と透析療法の知識 4版

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対話で学ぶ腎不全と透析療法の知識 4版

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対話で学ぶ腎不全と透析療法の知識 4版

110腎性貧血慢性腎不全では貧血は一般的な合併症ですが,それほど自覚症状が強くないようですね.どうして腎臓が悪くなると貧血が認められるのでしょうか.腎不全にみられる貧血を腎性貧血といいます.透析治療が行われる以前の保存期腎不全の時期からお話しましょう.貧血の原因は腎機能の低下に伴って,腎臓から分泌される造血ホルモン,エリスロポエチン(EPO)の産生が減少するためです(図6-1).さらに尿毒症の頃には体内に蓄積する尿毒症毒素の影響により,骨髄の造血作用を抑制し,赤血球寿命の短縮,溶血などから貧血の程度は正常人の約半分の程度にまで低下します.さらに尿毒症では血小板機能障害や出血傾向から血液の喪失があります.消化管からの出血や鼻血などによる影響があります.このような慢性的な出血があると貧血は増悪します.さらに食欲不振や嘔吐などにより栄養状態が不良になると貧血に対して好ましいことではないことがわかりますね. このような理由から末期腎不全では正常人の半分程度の著しい貧血が認められることになります.狭義の腎性貧血というのはEPO の産生・分泌が低下した場合にみられる貧血をいいます.この貧血は一般的に正色素性,正球性の型をとります.透析治療により貧血は改善するのですか.透析治療が開始されると尿毒症毒素が除去されることになり貧血が一部改善するといえますが,必ずしもそうとはいえません.確かに毒素の除去により影響は取り除かれますが,根本的にEPO は依然として減少したままです.さらに透析治療に伴った貧血増悪因子が新たに加わることになります.たとえば,透析回路やダイアライザに残血として血液を損失すること,穿刺時の出血や検査用の採血による損失なども看過できません.このような場合には鉄欠乏性の要素が加わることになります.NDrNDr図6-1 赤血球産生の調節機構O2 分圧O2 濃度ヘモグロビン心肺機能などEPO 感受性細胞EPOO2 センサー骨髄間質線維芽細胞(REP 細胞)組織虚血低酸素血症EPO 産生細胞赤血球赤芽球系CFU-E 分化促進増殖造血作用サイトカイン1L-1,1L-6(など)