ブックタイトル実践から識る!心不全緩和ケアチームの作り方

ページ
9/12

このページは 実践から識る!心不全緩和ケアチームの作り方 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

実践から識る!心不全緩和ケアチームの作り方

803 章 チームで実践する意思決定支援とチーム内の合意形成は思わず,医学的な決定は家族にしてもらいたいと考えている 7, 8)ため,伝えることが心理的な侵襲となり,未来に絶望する可能性がある.そのため,患者の意思決定パターンを尊重し,絶望ではなく希望を保証し,やがてくる人生の最終段階に自分らしく生きることが考えられるようにコミュニケーションを図っていくことが重要である.末期心不全患者のACPを行う際の効果的なアプローチは,図3-A-1の4つのステップに沿って段階的に行うことが推奨されている 2).この4 ステップは,複雑なコミュニケーションの要素を分類し,意思決定を効果的に行うために開発されたものであり,進め方の指針として参考になる.各ステップにおけるコミュニケーション戦略のポイントを表3-A-2に示す.全体として留意しておきたい点は,終末期医療に関する意思決定は,患者の不安,恐怖,ストレスやコントロール感の喪失などの複雑な感情刺激をもたらすことで,心身の状態が不安定である場合,認知情報が正しく処理されないことがある 9).そのため,心身の安定した時期に実施することを前提とする必要がある.また,STEP2の段階においては,医療者からの情報提供を先に行うのではなく,まず,患者と家族に対して知っていることと知りたいことを尋ねることが推奨されている 10, 11).患者の希望を評価する唯一の方法はまず尋ねることであり,尋ねることは,患者にコントロール感を与え,共同意思決定支援の基本的信頼を生み出すことにつながる.したがって,予後と目標についてのコミュニケーションのための有用な方法として表3-A-1 選択肢の提示の際に留意が必要な治療治療説明の際の留意点植込型除細動器(ICD) 突然死のリスクは減少するが,不適切作動による苦痛や入院リスクが増加する腎代替療法進行した心不全患者,他の合併症やフレイルを有する高齢患者では,患者の苦痛が増加し,生命予後を延長させないことが示唆されるため,予後とQOLについての話を行うべきである緩和ケアStage C の時点から選択肢について話しておくべきである予期しない出来事に対する延命治療の選択心肺蘇生,挿管,人工栄養,ICDの非作動,集中治療室の搬送などの延命治療の選択は,1年ごとの心不全の見直しの中で行うSTEP1:場所と参加者の設定をするSTEP2:患者が知っていることと知りたいことを確認するSTEP3:患者の意向を確認し目標を共有するSTEP4:患者や家族とともに目標に基づいた治療と決定について考える図3-A-1 ACPの4つのステップ