ブックタイトル実践から識る!心不全緩和ケアチームの作り方

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概要

実践から識る!心不全緩和ケアチームの作り方

221 章 心不全緩和ケア概論その中で利用できる緩和ケアのリソースを把握し,自らも“基本的緩和ケア”に精通している必要がある.基本的緩和ケアと専門的緩和ケアは図1-D-1のような関係として考えることができる.基本的緩和ケアの役割としては,①緩和ケアのニーズをキャッチすること,②基本的な身体的苦痛の緩和やメンタルケアの提供,③適宜緩和ケア専門家に相談することなどが期待される.一方で専門的緩和ケアの役割としては,難治性の症状管理や複雑な意思決定支援,困難なコミュニケーションなどについて,基本的緩和ケア提供者からのコンサルテーションを受ける役割が期待される.本書で目指すべき心不全緩和ケアチームは,心不全においてこの専門的緩和ケアを担う存在である.このピラミッド型のシステムがうまく機能すれば,限られたソースを有効活用しながら,幅広い患者に緩和ケアを提供できると考えられる.3─ 心不全緩和ケアが抱える問題発展途上の心不全緩和ケア領域であるが,今後取り組むべき課題を整理する.表1-D-1 一歩進んだ議論が必要となるタイミング・機能低下が著しく進行(身体的/精神的)し,生活の大半で介助が必要・適切な薬物/非薬物療法下でもQOL を障害する重度の心不全症状がある・適切な治療にも関わらず心不全増悪入院が頻回である・心移植や機械的循環補助の適応にならない・心臓悪液質・臨床的に終末期が近いと判断される(Ponikowski P et al:2016 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure:The TaskForce for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure of the European Society of Cardiology(ESC)Developed with the special contribution of the Heart Failure Association(HFA)of the ESC. Eur Heart J. 2016;37(27):2129-200.より改変)専門的緩和ケア提供者:緩和ケア専門家(心不全緩和ケアチーム)■ 困難例への専門的緩和ケアの提供■ 基本的緩和ケアの相談窓口提供者:循環器専門家,プライマリ・ケア■ 緩和ケアニーズの抽出(トリアージ)■ 基本的緩和ケアの提供■ 適宜緩和ケア専門家へ相談基本的緩和ケア図1-D-1 「段階的」心不全緩和ケア