ブックタイトル実践から識る!心不全緩和ケアチームの作り方

ページ
3/12

このページは 実践から識る!心不全緩和ケアチームの作り方 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

実践から識る!心不全緩和ケアチームの作り方

181 章 心不全緩和ケア概論インにおいても,心不全ステージ分類Dといった末期心不全患者に対して緩和ケアが提供されるべきであることは示されているが,具体的な緩和ケアの内容については十分な記載がない 2, 3).日本においても,末期心不全患者に対しての緩和ケアに関する報告は乏しく,末期心不全患者に対しての緩和ケアについて確立したものはない.それでは実際,心不全患者に対して緩和ケアはどのように導入していけばよいのだろうか. 緩和ケアの導入の時期については,心不全の経過を理解しながら,病期(ステージ)に合わせて導入時期を考えることが重要である.心不全治療については積極的な心不全治療が適切に行われることが重要であり,さらに並行して支持療法として緩和ケアを導入していくことが必要となる.緩和ケアの介入内容としては,がん領域でも早期から必要と考えられている①症状緩和,②コーピング(対処能力)の向上,③病状理解の促進と治療目標の確認,④意思決定支援,⑤アドバンス・ケア・プランニング,があげられる.これらの介入は,基本的には心不全治療にあたるすべての医療従事者が行うべきものであり,症状緩和や意思決定が困難な際には,専門的な緩和ケアが必要になると考えられる(図1-C-1).また,緩和ケアを導入するにあたっては,簡便なスクリーニングをするためのツールを参考・症状緩和・コーピングの向上・病状理解の促進・意思決定支援・アドバンス・ケア・プランニング患者・家族心不全治療:関わるすべての医療従事者が提供・患者の評価:(病歴,家 基本的緩和ケア:関わるすべての医療従事者が提供族歴,理学所見,診断的検査の実施など)・予後予測と説明・治療選択・増悪因子への介入・身体機能とQOL の低下に伴う観察強化基本的緩和ケアで対処困難な複雑な問題への介入・身体および精神症状緩和・コミュニケーション・心理社会的支援*専門家:緩和ケアチーム在宅緩和ケアなど専門的緩和ケア:専門家*が提供図1-C-1 緩和ケアの提供体制表1-C-1 緩和ケアの理念と実践①痛みやその他の苦痛な症状の緩和を行う②生命を尊重し,死を自然なことと認める③死を早めたり,引き延ばしたりしない④心理的,スピリチュアルなケアを通常の医療・ケアに統合する⑤死を迎えるまで患者が人生をできる限り積極的に生きていけるように支援する体制をとる⑥家族が患者の病気や死別後の生活に適応できるように支援する体制をとる⑦ 患者と家族のニーズに対応するためチームアプローチを実践する(適応があれば死別後のカウンセリングも行う)⑧ QOLを向上させ,病気の経過に良い影響を与える⑨ 病気の初期段階から,化学療法,放射線療法などの延命を目指すその他の治療と同時に行われ,治療や検査に伴う苦痛な合併症のマネジメントを包含する