ブックタイトルベッドサイドの神経の診かた 改訂18版

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概要

ベッドサイドの神経の診かた 改訂18版

2025. 瞳孔異常を呈する症候群a. アーガイル ロバートソン瞳孔 Argyll Robertson Pupil 対光反射は消失しているが近見反射は正常に保たれていることをいう.原則的には瞳孔は縮小し,反射異常は両眼性に起こる.これは神経梅毒に特有な所見である.しかし,中脳を障害するような他の疾患,たとえば腫瘍,血管障害,脳炎でも起こる. この徴候を示す病巣部位は,対光反射の求心線維がE-W 核に接近するところと推定されている.b. アディー症候群 Adie Syndrome, ホームズ・アディー症候群 Holmes-Adie Syndrome(アディー瞳孔 Adie Pupil, 強直性瞳孔 Tonic Pupil) 対光反射消失を示すので,よくアーガイル ロバートソン瞳孔と混同される.本症は30 ?40歳の女性に多い.梅毒とは関係なく,原因不明である.瞳孔症候は多くは一側性で,障害側は散瞳し,瞳孔不同となる.患者の対光反射は普通の方法では,直接,間接とも消失しているが,強い光ではゆっくり反応する.調節反射は,迅速にはあらわれないが,眼前の物体を注視させておくと15 秒あるいはそれ以上でゆっくり縮瞳する.しかし近見反射も消失することがある.その他腱反射の消失がみられ,アキレス腱反射の消失が最も多く,膝反射,上肢反射の順に侵される.障害側の眼に2.5 % methacholine(メコリール)溶液を点眼すると強く縮瞳する.健側の眼では縮瞳しないか,起こっても微弱である.c. ホルネル症候群 Horner Syndrome 一側の眼瞼下垂,縮瞳および眼球陥没enophthalmos を,ホルネル症候群という.しかし眼球陥没はexophthalmometer で計測してもほとんど確認できず,むしろ眼瞼裂狭小による見かけ上のものとされている.またこうした眼の徴候のほかに障害側の顔面に無汗症anhidrosis がみられる.図12-3 のごとく,障害側(右)の縮瞳はわかりやすい.なるべくうす暗いところでみるほうがよい.健側が散瞳するので障害側の縮瞳を見い出しやすい.図12-3 右ホルネル症候群1)右縮瞳.2) 右上眼瞼下縁と瞳孔上端との距離は左より小さい.つまり右眼瞼下垂がある.3)右下眼瞼は上昇し,眼瞼裂は狭小している.