ブックタイトル臨床神経内科学 改訂6版

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概要

臨床神経内科学 改訂6版

にみられその局在診断が難しい.D 補助的検査法 近年嚥下障害を客観的に評価し予後・治療を決定する手段としてビデオ嚥下造影検査がある.発声させて口唇,舌,軟口蓋の動きを観察し,空嚥下や少量の冷水,造影剤の少量を嚥下してもらい咽頭・喉頭の動きを評価し嚥下リハビリに利用されている.3 構音障害・発声障害dysarthria・dysphoniaA 基礎知識 運動性発語の障害は構音障害,失構音,運動性失語からなる.このうち構音障害dysarthriaは言語を発するとき,正確な発音をもって発声することのできない状態をいい,思ったとおり音節は実現されているが,構音機構障害のため音が変形,減弱し不正確な発声となる. 構音障害には①構音構築そのものの損傷病変,例えば口蓋裂,口唇裂による耳鼻科的疾患によるもの,②構音構築運動を司る神経および筋障害によるもの,③音韻学習過程の発達障害でおこる機能的なものがある.我々の遭遇するものは主に第2 のグループであり,これらはMayo Clinic Classification では解剖学的に麻痺性(弛緩性),痙性,失調性および錐体外路性(運動減少性,過多性)構音障害に分類されている1). 麻痺性構音障害では構音筋のミオパチーのほかに重症筋無力症があり,これ以外は構音筋を支配する下位脳神経障害が原因となる.すなわち口輪筋を支配する顔面神経,口蓋・咽頭・喉頭筋を支配する舌咽迷走神経,さらに舌筋を支配する舌下神経の障害により構音障害がおこる.これらの神経障害の見分け方としては,口輪筋の関与する口唇音パピプペポの発音で顔面神経麻痺が,口蓋筋の関与するガギグゲゴの発音で舌咽・迷走神経麻痺が,さらに舌筋の関与するラリルレロの発音で舌下神経麻痺が診断できる.失調性構音障害および錐体外路性構音障害は前者は小脳病変,後者は錐体外路疾患でみ17 口腔・咽喉頭の症候の診かた?163前大脳動脈視交叉内頸動脈破裂孔(内頸動脈,交感神経枝)後大脳動脈脳底動脈中間神経篩板(CN.I)上眼窩裂(CN.III,IV,VI,V1)内耳孔(CN.VII,VIII)頸静脈孔(CN.IX,X,XI)舌下神経管(CN.XII)正円孔(CN.V2)卵円孔(CN.V3)視神経管(CN.II)VIIIIVMotor VVIIVIIIIXXXIIXIVI図Ⅲ-17-3 脳神経と頭蓋底部出口12 対の脳神経は頭蓋内から頭蓋底を貫いてその機能を発揮する.CN.I: 嗅神経,CN.II: 視神経,CN.III,IV,VI,V1: 動眼,: 滑車, 外転,: 三叉神経眼枝,CN.V2: 上顎枝,CN.V3: 下顎枝,CN.VII,VIII: 顔面,内耳神経,CN.IX,X,XI: 舌咽,迷走,副神経,CN.XII: 舌下神経