ブックタイトル日本の循環器診療 現場〈リアル〉への招待

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概要

日本の循環器診療 現場〈リアル〉への招待

2 Ⅰ.総 論IntroductionchArrhythmia CAD Heart Failure 「Shinken Database」という名前のついた臨床研究を耳にしたことがあるでしょうか.まったく知らないというかたから,何度も聞いたことがあるというかたまで,さまざまかもしれません.このShinken Database は,心臓血管研究所ならびにその付属病院の職員の協力を仰ぎつつ,2004 年度から開始された,病院型データベース研究です.心臓血管研究所付属病院の受付を通ったすべての初診患者を網羅したデータベースで,2016 年3 月時点で12 年が経過し,約2 万5 千人の循環器疾患患者の情報を含み,このデータを用いた英文原著論文が約50 編報告されています.心臓血管研究所のホームページでは,患者さん向けにその趣旨を次のように記載しています. 当研究所では「日本の循環器疾患治療の現状を把握し,その向上に努める」という目的のため,受診者の方々が現在ご健康に過ごされているかを定期的に調査(予後調査といいます)させて頂いております.病気を治療する目的は,最終的に患者さんの得られる幸福にあります.最近まで,このような治療効果については短期的な効果(数カ月?1 年)を目標にしてきましたが,このような治療効果が数年から十数年という長期間に渡っても持続しているのかどうか,については世界的にもあまり判明していないのが実情です.そこで,公益法人である当研究所では,実際に現在行われている治療の長期的効果を明らかにする義務があると考え,ご来院されていた患者さんに,その後大きな出来事が生じていないかどうか(予後)を長期的に調査し,今後の日本における診療向上に役立てたいと考えております. さて,公益財団法人である心臓血管研究所は,1959 年当時,わが国にはみるべき循環器病の専門研究機関がない実情(その後1977 年に国立循環器病研究センターが開設)にかんがみ,一石を投じるという趣旨で設立されました.心臓血管研究所設立時の趣意を抜粋します. 戦後,化学療法の進歩と早期診断施策の徹底により,結核の死亡率が急激に低下したことは,周知のことである.しかるに,その一方において心臓病,脳卒中など循環器系等の疾患が急速に増加し,その死亡率も逐年増大しつつある事は,このまま看過できない不幸な事実である.(中略)欧米諸国では,この種の疾患に0 Shinken Databaseとは何か?