ブックタイトル循環器診療のロジック

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概要

循環器診療のロジック

この時点でまず何を行うか?1.緊急カテーテル治療の手配をする2.詳細な神経所見を含めて,丁寧に全身の診察を行う3.病歴を細かく聴取する4.血行動態の確保に努める5.人手を集める 一見してショックバイタルだとわかる.たとえ循環器内科医であっても,一人で対応してはいけない.躊躇せず助けを呼んで,複数の医療従事者で対応すべきである.カテーテル検査がいつでもできるように連絡方法を確認しておくことは重要であるが,この時点で,カテーテル治療の手配をする必要はない.診断をつけるための詳細な問診や診察も重要であるが,本症例のようなショック患者の場合は,まずは循環動態の安定を最優先させるべきである. 末梢の静脈ラインを確保して急速補液とともに,ノルアドレナリン持続静注(0.05 ?0.25γ)を開始した.同時に,リザーバーマスクを併用して酸素化に努めた.末梢確保とともに採血を行った.このとき,多めに確保して,追加検査にも対応できるようにしておくべきである.用手で患者の脈を確認して,循環動態の確保を随時確認することもできる.ここでは,酸素化が保てないために人工呼吸を開始した.Answer 1  4,5Question 1症 例 40歳男性主 訴呼吸困難現病歴 来院の前日から呼吸困難を自覚し,来院当日には朝から全身倦怠感が出現した.社内のトイレで倒れていたところを同僚に発見され,当院へ救急搬送された.特記すべき既往や病歴はないようだが,これ以上の病歴聴取は困難であった.身体所見 身長168 cm,体重72 kg.来院時はスーツ姿.意識レベルJCS(Japan Coma Scale)0,顔面蒼白,体温36 . 8 ℃,心拍120 /分,救急隊のモニターでは洞調律,血圧76 / 50 mmHg,呼吸数20 /分,酸素マスク5 L 投与下でSaO2 90%.明らかな外傷を認めない.両側肺呼吸音異常なし.明らかな心雑音は聴取せず.下腿に浮腫あり,冷感は明らかでない.56 Ⅱ.心不全9. 脚気心Category Ⅱ.心不全