ブックタイトル循環器診療のロジック

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概要

循環器診療のロジック

この時点でまず何を行うか?1.総合感冒薬を処方する2.胸部X 線,12誘導心電図,経胸壁心エコー検査で原因を検索する3.見逃しがないように,全身の診察を丁寧に行う4.採血を実施し,1カ月後の外来を予約する5.若年女性であり,貧血と考え,鉄剤を処方する 慢性的に持続する労作時呼吸困難を主訴に来院した若年女性である.来院時の身体所見では脈拍数の増加ならびに低血圧を認め,バイタルサイン(バイタル)は明らかに異常である.また診察上,Ⅱ音の亢進を認め,三尖弁逆流を示唆する心雑音を聴取し,頸静脈怒張と下腿浮腫もあることから,何らかの循環異常が考慮される.このようなときは若年であっても精査をすべきであり,まずは胸部X 線撮影,12誘導心電図,経胸壁心臓超音波検査(経胸壁心エコー検査)などでの早急な評価が適切である.Question 1症 例 21歳女性主 訴労作時呼吸困難現病歴 生来健康であったが,中学3 年生のころから安静時に失神発作を認めるようになり,他院で脳波の精査を数回受けるも原因は特定されなかった.中学卒業後は失神発作を認めなくなった.受診の1 年前(X-1 年)の4 月に受けた大学での胸部X 線検査でも異常は指摘されなかったが,同年12 月より立ちくらみを認め,著明な労作時呼吸困難が出現するようになった.症状が改善せず,X 年4 月に近医内科クリニックを受診した.以下に診察時所見を示す.身体所見 身長 157.3 cm,体重 48.7 kg,意識清明,体温 36.3℃,脈拍 110/分・整.血圧88/50 mmHg,酸素飽和度95 %(room air).頭頸部所見頸静脈怒張あり,眼瞼結膜貧血なし,甲状腺腫大なし・圧痛なし.胸部所見心音:Ⅰ→Ⅱ↑(Ⅱ音分裂)Ⅲ(-)Ⅳ(-),心雑音:心尖部に最強の高調な収縮期逆流性雑音(Levine分類Ⅲ/ Ⅵ)を聴取.その他軽度両下腿浮腫あり家族歴・既往歴特記事項なし318 ⅩⅢ.肺循環異常46. 特発性肺動脈性肺高血圧症Category ⅩⅢ.肺循環異常