ブックタイトルエキスパートが現場で明かす 心不全診療の極意

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エキスパートが現場で明かす 心不全診療の極意

116Ⅲ.急性心不全はじめに? 身体に何らかの侵襲が加わると,経口摂取などで得られる外因性エネルギー以外に内因性エネルギーの供給が増加する.これは「異化反応」といわれ,生体が侵襲から生き抜くための生理的反応である.集中治療を必要とする重症患者は,このようなエネルギー代謝の状態にあり,さらにエネルギー摂取を医療従事者により完全にコントロールされた状態となっている.つまり,われわれが日常診療で接する患者は,特殊なエネルギー摂取・代謝の状態にあり,これらに介入していくことが急性期栄養療法の基本となる.A 循環器救急における急性期栄養療法? 慢性心不全患者は,食欲低下に加え,筋肉量の低下・萎縮などを合併する頻度も高いとされている.ACCF/AHA Guideline for the Management of Heart Failure 2013 1)でも健康不良状態を示す悪液質(カヘキシー)の概念が提唱されており,予後不良因子として考えられている.さらに,慢性心不全に対しては,栄養療法の有効性が少なからず報告されている.? 一方,急性心不全に対する栄養療法に関しては,一定の見解は得られていないのが現状である.このような背景のなかで,急性心不全に対する急性期栄養療法を検討していく必要がある.ここでヒントになるのが集中治療分野での栄養療法である.集中治療分野では,敗血症,熱傷,急性膵炎,外傷などの分野で急性期栄養療法の有用性が数多く報告されて20 重症心不全患者に栄養療法は必要か?図20-1 急性期栄養療法の手順栄養状態の評価栄養療法の計画栄養状態・栄養療法の再評価いつ? 開始時期どこから? 投与方法どれだけ? 投与量栄養療法に合わせてすること・血糖コントロール・誤嚥予防・排便調整・運動リハビリK