ブックタイトル心不全診療について本気出して考えてみた

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概要

心不全診療について本気出して考えてみた

13910 薬物アドヒアランスと食事療法をキープする多職種によるタッグを組むこと 冒頭にあげた「白衣効果」.この言葉は“ 権威” の隠喩でもありますが,その意味を除いて考えてみたとしても,人は目標や自身を律する外的要素があると,行動が修正されやすいという特性があります.抗てんかん薬の研究にもあったように,“ 喉元過ぎれば熱さ忘れる”,このような人間のもつ特性を考慮しないまま,医師による診療だけで治療アドヒアランスを維持することは難しいのです.そして,このような課題を解決するために,集団で何度も関与すれば,治療アドヒアランスが改善するのではないか.これがさまざまな職種と一緒にタッグを組み,患者をこまめにサポートするシステム,“ ハートチーム”の構築です. ハートチームとして成功させるには,次の4 つが必要だといわれています.①ゴール(患者の目標とわれわれの目標)を共有する ─理想ではなく,個別にできそうな目標.これは何ごとでも大事です.②病院トップ(管理者)のサポート ─これはそれぞれの病院で考えましょう.③医師の強いリーダーシップ ─耳が痛い.④得られたデータの分析とフィードバック ─これもまた耳が痛い. ここに興味深いデータ(計45,000 人を対象としたメタ解析)があります.患者の服薬アドヒアランスには,処方する医師のコミュニケーション能力が関係するというものです.これによると,医師のコミュニケーション能力不足によりノンアドヒアランスが1.47 倍増加,逆に医師のコミュニケーション能力があるとアドヒアランスが2.16 倍増加するそうです.さらに医師がコミュニケーションスキルを磨くと,患者のアドヒアランスが1.62 倍高くなるとの結果も示されています.一見,多職種協働と何の関連があるの…,という結果に