ブックタイトル心不全診療について本気出して考えてみた

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概要

心不全診療について本気出して考えてみた

695呼吸をアラインする 5呼吸をアラインする心不全患者における呼吸障害 急性心不全では,肺うっ血によって酸素化が障害され,低酸素血症が生じますが,この低酸素血症が,予想以上に心不全にとって悪玉です.低酸素血症では,全身臓器の灌流にさらに多くの血液供給が必要になり,それは同時に心臓の仕事量を増加させます.低酸素血症は心臓と全身循環の両者に大きな負荷をかけるわけです. 低酸素血症が持続すれば,心臓は心拍数と心収縮力を最大限にパワーアップして,増加した全身灌流の需要をまかなわなければいけません.このバックアップを行うのは交感神経ですが,交感神経の緊張は,(末梢まで血流を維持するために)血管トーヌスを緊張させ,central volume shift を生じさせます.さらに,腎臓での低酸素血症は糸球体濾過を滞らせ,体液を貯留させます. つまり,低酸素血症は,これまで述べてきた第1 章から第4 章のすべての因子を悪化させるのです.心臓のポンプ機能,心拍数,血管トーヌス,体液量,それぞれをつぶさに考え,整えたとしても,低酸素血症に対する配慮が十分でなければ全く意味がないということにもなりかねません.逆に言えば,低酸素血症に対するケアは,すべての因子に好影響を与えると考えることもできます.