ブックタイトルエキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A

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概要

エキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A

122Ⅲ.パーキンソン病・パーキンソニズムの運動症状の治療L-ドパ薬物動態プロファイルから明らかになった問題点と対策 ① 午前中の血中濃度の立ち上がりが遅く,L -ドパの効果発現に時間を要するdelayedon が観察された.とくに,朝食後に服用したL -ドパの吸収が遅延し,食後胃排泄時間の延長が示唆された. 対策:朝食後のL -ドパ服用を朝食前に変更した. ② L -ドパの血中濃度が維持されず,16 ~ 18 時にウェアリング・オフが観察された.ドパミン神経終末の減少にともなう脳内ドパミン保持能の低下が示唆された. 対策:末梢性COMT 阻害薬(エンタカポン)を追加し,L -ドパ血中濃度の延長を図った. 上記をふまえて,服用時間,内容を変更した.その後,パーキンソン症状の変動とL -ドパの薬物動態プロファイルについて再検討を行った(図6 - 2,表6 - 2). 終日にわたりUPDRS partⅢのスコアがほぼ一定となり,日中のoff 時間がなくなった.それにともない,off 時にみられた腹痛の症状や,L -ドパに対する渇望も消失した.また,動作時に上半身や頸部を横に振る軽度のジスキネジアは残存したものの,日常生活動作高 値 2.0低 値1.51.00.50.05152535L-ドパ血中濃度〔μg/mL〕UPDRS partⅢスコア〔点〕9:0010:0011:0012:0013:0014:0015:0016:0017:0018:0019:00軽 症重 症on朝 食COMT 阻害薬L-ドパ 100mg昼 食夕 食UPDRS partⅢスコアL-ドパ血中濃度図6 - 2 1 日の症状の変動とL -ドパ薬物動態プロファイルの検討(薬剤調整後)表6 - 2 L-ドパ服用時間(薬剤調整後)6:00 8:00 11:00 14:00 17:00 20:00L -ドパ・カルビドパ配合剤600 mg/日 1 日6 回○ ○ ○ ○ ○ ○末梢性COMT 阻害薬(エンタカポン) ○ ○ ○ ○