ブックタイトルエキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A

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概要

エキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A

40Ⅱ.パーキンソン病と類縁疾患の鑑別て覚醒度が低下した.また,食事の途中に眠ってしまうこともあった.見当識障害を認めたが,失語,失認,失行はなく,脳神経には異常はなかった.安静時振戦はみられないが,四肢,体幹に軽度の筋強剛,動作緩慢を認めた.腱反射は正常で,病的反射はなく,感覚障害も認めなかった.姿勢は軽度の前傾姿勢で,歩行は緩慢で小刻み歩行,姿勢反射障害がみられた.パーキンソニズムの重症度は,UPDRS(unified Parkinson’s disease ratingscale)partⅢのスコアが14 点,Hoehn & Yahr 重症度分類がステージⅢ(HY3)であった.四肢,体幹に運動失調はなかった.また,便秘と切迫性尿失禁を認めた.シェロング試験では,臥位の血圧が116/61 mmHg,脈拍が61回/分,立位時の血圧が107/69 mmHg,脈拍が58回/分であった.初診時診断レヴィ小体型認知症(DLB)の疑いQ 1 レヴィ小体型認知症の症状について,間違っているものを2 つ選べ.a.注意や覚醒レベルの顕著な変動をともなう.b.病初期から記憶障害が目立つのが特徴である.c.具体的な内容の幻視が繰り返し起こる.d.幻視より,物盗られ妄想や嫉妬妄想が多い.e. しばしばレム睡眠行動障害REM sleep behavior disorder(RBD)が合併する.(A1.b,d)Q 2レヴィ小体型認知症の神経病理学的所見について,間違っているものを1つ選べ.a. アルツハイマー病に特徴的な,老人斑や神経原線維変化がみられることはない.b.主たる病理学的特徴は,レヴィ小体とレヴィ関連神経突起の出現である.c.レヴィ小体は,消化管壁の神経叢にも出現する.d.レヴィ小体の主要構成成分は,α-シヌクレインである.e. 肉眼的所見では,黒質と青斑核の色素脱失がみられる.(A2.a)  進行性の認知機能障害に加えて,覚醒度の日内変動を認めた.四肢,体幹に軽度の筋強剛があり,動作緩慢,姿勢反射障害を認め,L -ドパが有効であった.夜間に繰り返す幻視があり,その内容は具体的であった.これらの所見より,レヴィ小体型認知症dementiawith Lewy bodies(DLB)が疑われた.しかし,認知機能(覚醒度)の変動を認めたものの,発症早期から記憶障害や見当識障害が目立っていた点からは,アルツハイマー病