ブックタイトルエキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A

ページ
11/12

このページは エキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

エキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A

16113.高齢患者における振戦と姿勢異常への治療とは?検査所見 頭部MRI では,明らかな虚血性病変や脳萎縮,基底核の変性所見を認めなかった.123 I-MIBG シンチグラフィーはH/M 比(心縦隔比)early(早期相)1.7,delay(後期相) 1 . 3と著明に低下していた.ドパミンチャレンジテストでは,UPDRS partⅢスコアが,L -ドパ100 mg 注射前は42点であったが,注射後には40点になった.服用薬(初診時)L -ドパ・カルビドパ配合剤 150 mg/日 1日3回 毎食後,トリヘキシフェニジル 6 mg/日1日3回 毎食後,ドンペリドン 5 mg 嘔気時頓用.Q 1 この時点で試みられるべき治療法はどれか,1 つ選べ.a. 制吐剤を併用し,あくまでL -ドパによる服用を継続する.b.抗コリン薬を増量する.c.脳深部刺激療法(DBS)による治療を考慮する.d.非ドパミン系薬(ゾニサミド,イストラデフィリン)の使用を考慮する.e.ドパミンアゴニストの追加を考慮する.(A1.d(a は△))経過ならびに総合解説 本症例は70歳発症の比較的,高齢のパーキンソン病患者であり,123 I-MIBG シンチグラフィーも著明に低下しており,進行期パーキンソン病(Hoehn & Yahr 重症度分類ステージⅣ.HY4)と考えられた.幻視や人物誤認などの精神症状も合併していることから,ドパミンアゴニストの併用は控えたほうがよいと考えられた.したがって,「パーキンソン病治療ガイドライン2011」1)によれば,まずはL -ドパの服用による治療が優先されるが,嘔気などの副作用で服用できないこと,L -ドパ注射薬(ドパミンチャレンジテスト)でもUPDRS スコアに有意な改善がみられなかったことから,非ドパミン系薬での治療を併用することとした.アデノシンA2A 受容体拮抗薬のイストラデフィリン40 mg/日を服用開始すると歩行時の姿勢がよくなり,腰曲がりが改善した.その後,気分も落ち着いてきた.幻視や認知障害に対しては,副作用を考え,抗コリン薬を漸減中止した.その後,ドパミンの服用も可能となり,日常生活動作(ADL)のスコアも独歩可能のレベルにまで改善した.服用薬(回復時)L -ドパ・カルビドパ配合剤 150 mg/日 1 日3 回 毎食後,イストラデフィリン 40 mg/日1日1回 朝食後,ドンペリドン 5 mg 嘔気時頓用.