ブックタイトルエキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A

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概要

エキスパートに学ぶパーキンソン病・パーキンソニズムQ&A

160Ⅲ パーキンソン病・パーキンソニズムの運動症状の治療13. 高齢患者における振戦と姿勢異常への治療とは?81歳男性,右利き.主訴:歩行障害,腰曲がり.歩行時のすくみ足と前傾姿勢が著明で,前方への突進現象と腰曲がりが認められた1症例.現病歴 70歳ごろより歩行スピードや動作が緩慢になってきたことを自覚した. 71歳時より歩行障害,右上肢振戦があり,小声症もあった.近医にてパーキンソン病(PD)と診断され,L -ドパによる治療が開始されたが,L -ドパを服用すると嘔気が出現し,調子が悪いと訴えた.振戦には抗コリン薬であるトリヘキシフェニジルが有効であった. 75 歳時,UPDRS(unified Parkinson’s disease rating scale)partⅢのスコアはドパミンチャレンジテストを経ても変化がなかった.ときおり人物誤認や幻視が出現するので,抗コリン薬を減量すると,歩行障害などの運動症状が悪化した.そのため,抗コリン薬服用を継続し,服用量も徐々に増加したが,子どもが見えるなどの幻視や物忘れなどの認知障害も出現するようになった.転倒が頻回となり,歩行に介助を要するようになったため,服薬内容の調整目的にて当科を受診した.一般身体所見:身長165 cm,体重57 kg,BMI 20 . 9.家族歴:特記事項なし.既往歴:変形性腰椎症にて整形外科受診中.診察所見 意識清明で,見当識良好であった.また,仮面様顔貌を認めたが,脳神経系では異常なし.運動系では右優位の両側上肢巧緻運動障害,右上肢優位に軽度の安静時振戦,歯車様の筋固縮を認めた.感覚系では異常なし.自律神経系では,陰萎,慢性便秘を認めた.協調運動に特記すべき異常はなく,歩行はすくみ足が著明で,方向転換時に不安定,小歩症を認めた.姿勢反射障害は前方に著明であり,歩行時に前傾姿勢で強い突進現象を認めた.立位において前方への腰曲がりが著しい.受診時診断パーキンソン病(PD)case