ブックタイトル肺動脈形成術PTPABPA実践ガイド

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概要

肺動脈形成術PTPABPA実践ガイド

PTPABPA641 PTPA におけるバルーン拡張CTEPH に対するカテーテル手術はバルーン拡張により行われる.冠動脈インターベンションPCI で行われる方法とは異なり,PTPA によるバルーン拡張には長期的に良好な開存が認められる.CTEPH の大半で認められるアンギオ上のweb やband といったhazy な狭窄病変を光干渉断層法(OCT)で観察すると“ レンコン状(lotus─root─likestructure)” や“ 蜂の巣状(huneycomb─like structure)” と呼ばれる多腔構造が主体であり,動脈硬化性疾患でみられる狭窄病変とは組織学的に異なることが影響していると考えられる.バルーン拡張の目的は上記のような病変の主体である多腔構造をバルーン拡張で崩し,末梢血流を改善させることである.これに対して急性肺血栓塞栓症では新鮮血栓が主体であるため,バルーン拡張による血流改善は期待できず,巨大な血栓を細かく破砕する破砕術や血栓吸引術がカテーテルにより限定的に行われている.冠動脈領域と異なり末梢用のバルーンの種類は非常に豊富である.他項に詳細は譲るが,PTPA は2001 年の初期報告では0. 035 inch ワイヤーが使用されていた.現在,著者らの施設においては0. 014 inch ワイヤーとマイクロカテーテルで病変を通過させるため,0. 014 inch 対応のバルーンで拡張を行っている.使用されるバルーンは基本的にrapidexchange,ノンコンプライアントバルーンを選択しており,そのバルーンサイズなどからオーバーザワイヤーの製品しか存在しない場合や,バルーンのコンプライアンスについてもバルーンサイズにより限定される場合はその限りではない.また,CTEPH における病変において上記のようなweb やband のような典型的な病変ではなく,いわゆる動脈疾患でみられるような,器質化血栓量が高密度な狭窄病変を認めることがあり,その際はcutting バルーンなどのスコアリングデバイスがしっかり拡張するという点で有効な方法である可能性がある.しかし血管損傷の危険が高い可能性があり確定的な見解はなく,まずは通常のバルーンから選択し,症例ごとにイメージングデバイスや後述するような末梢圧較差などを参考に,最適なバルーン拡張を検討する必要があると考えられる.6. バルーンの選択とバルーン拡張3 PTPA中の手技手順