ブックタイトル症例から学ぶ 戦略的てんかん診断・治療

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概要

症例から学ぶ 戦略的てんかん診断・治療

初診時現病歴28歳時,出産育児休暇後に仕事に復帰してから仕事中に急に眠くなることを自覚する.妊娠中も妊娠3?4 か月頃から眠気がひどかった.妊娠中,浮腫,切迫流産,骨盤位であり,帝王切開にて挙児.仕事復帰後の約1年間の睡眠時間は1 日あたり3?4時間であった①.仕事はデスクワークで仕事中に居眠りをするようになり,頻繁化し,上司から注意される.本人は眠気の自覚がなくても居眠りを指摘されることがあり,多いときでは1 日5?6回はあった.仕事の内容は設計プログラムであるが,考えるとき,電話対応中,苦手な作業時に出現する傾向にあった.勤務時間は9 時から17時45分までと規則的で週休2日,残業,夜勤,交代勤務,休日出勤もなかった②.普段,便秘気味であり,便秘で腹部の膨満感があるときに眠気が出る.夫の母親が気分障害のため介護していること,仕事の面でもストレスを自覚していた.現病歴のほとんどは同伴して来院した夫が答えていた.既往歴特記事項なし③常用薬特記事項なし④家族歴特記事項なし睡眠歴過去5?6年間は1日6.5?8時間の睡眠を確保し,就寝時刻は22?23時で入眠は良好で,中途覚醒はなく,起床時刻は5 時頃で,目覚まし時計で起床するが起床後約1時間はボーッとしている⑤.午睡にて眠気が改善するときとしないときがある.情動脱力発作のエピソードの経験はない.入眠期にのみ軽いいびきをかくことや脚がつることがある.エプワース眠気尺度EpworthSleepiness Scale(ESS)⑥は12点で日中の眠気の自覚があった.ピッツバーグの睡眠質問票Pittsburgh Sleep Quality Index(PSQI)⑦の総得点は4点で睡眠の質の低下を示唆する所見はなかった.レム睡眠行動異常症REMsleep beharior disorder(RBD)のスクリーニング質問票の日本語版(RBDSQ-J)⑧1)の総得点は0点でありRBDを示PARTⅡ 実症例から学ぶてんかん診断と治療56主訴:仕事中に急に眠くなる.36 歳(当院初診時) 女性右利き職業:設計プログラム診断症例2過眠症とてんかん発作との鑑別は①行動誘発性睡眠不足症候群との鑑別が必要である.③日中の眠気の原因となる内科疾患,神経疾患,精神疾患などの有無を確認する.④日中の眠気の原因となりうる薬物や嗜好品の使用の有無を確認する.⑤睡眠の質の低下(熟眠障害型不眠)の存在が疑われる.⑥日中の眠気の評価尺度にエプワース眠気尺度が用いられる.11 点以上のとき病的な眠気があると判定される.⑦睡眠の質や睡眠の全体的な評価にピッツバーグの睡眠質問票が用いられる.睡眠障害の程度を点数化できる利点がある.⑧ RBD のスクリーニングに有用である.RBD の確定診断には睡眠ポリグラフ検査が必須である.②日中の眠気を主訴とし,睡眠関連疾患を疑うときは日常生活と睡眠習慣を把握する必要がある.