ブックタイトル症例から学ぶ 戦略的てんかん診断・治療
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症例から学ぶ 戦略的てんかん診断・治療
者を併用すると,十分に効果を発揮できない血中濃度であっても小脳失調が起きやすくなり,いずれの薬剤も有効血中濃度まで上昇させられなくなる可能性があるため,併用するのは合理的ではなかったためである.現時点でも部分てんかんに対しての有効性という点では,レベルA のエビデンスがあるのはフェニトインとカルバマゼピンのみである1).しかし,代替の薬剤が多数市場に出てきた現時点においては,フェニトインは長期服用による小脳や末梢神経への影響,多毛や末端肥大など結合織への影響,歯肉増殖などの美容上の問題などから,少量投与で発作が抑制される例外的な場合以外には,第二選択薬には適していない可能性が高い.さらには,カルバマゼピンで抑制されない発作が,類似の作用点に作用するフェニトインの少量投与で抑制される可能性は低く,発作が抑制されるとすれば相当量の投薬が必要であることが予想される.確かに,極めて難治のてんかん発作がフェニトインの大量投与で抑制される場合もあるので,現在でもフェニトインは重要な治療薬であり続けているが,使いどころの難しさを考えるならば基本的にはフェニトインは専門医のための治療薬となったと考える方がよいかもしれない.1) 最初にカルバマゼピンが使われた場合最初にカルバマゼピンが使用されたということは,投薬者はかなりの確信を持って目下の発作が部分てんかんだと判断したということである.したがって,先ほど述べたように,カルバマゼピンの十分量が無効だったのであれば,スイッチングを行うのではなく,現時点では,レベチラセタム,トピラマート,ラモトリギン,ゾニサミド,クロバザムといった広域スペクトラムの薬剤の追加投与を行うのが合理的であるとされている5).ただし,ジャクソニアン・マーチやTodd の麻痺が確認できないJackson 発作や,自動症や発作後もうろう状態が目立たない複雑部分発作は,それぞれミオクロニー発作や定型欠神発作が誤診されていることがあるので,カルバマゼピンが無効ないしは,むしPARTⅠ 総論26図Ⅰ-3-2 第一選択薬が無効であった場合第一選択薬無効→単剤療法によるスイッチング→多剤併用療法第一選択薬がカルバマゼピン→全般てんかんでないか再確認→広域スペクトラム薬の追加投与レベチラセタムトピラマートラモトリギンゾニサミドクロバザムなど第一選択薬がバルプロ酸→ラモトリギンレベチラセタムトピラマートなどの追加を検討