ブックタイトル患者さんと医療スタッフのためのモチベーションUP!糖尿病教室

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患者さんと医療スタッフのためのモチベーションUP!糖尿病教室

9.あなたの知らない血糖値の世界61のブドウ糖の放出を抑制します.他方,骨格筋や脂肪組織などにインスリンが作用すると,細胞内へのブドウ糖の取り込みが増加します.取り込まれたブドウ糖はさらにインスリンの作用を受け,骨格筋では筋グリコーゲン,脂肪組織ではおもに中性脂肪として蓄えられます(図9 - 1).このようにインスリン作用により血中から末梢組織への糖の取り込みが増え,肝臓からの糖放出が抑制されると血糖値は低下します. 絶食が長期にわたり,血中のブドウ糖がエネルギー源として使用できなくなるとインスリン分泌は低下し,肝臓からのブドウ糖の放出が増加します.さらには脂肪から放出される遊離脂肪酸や,肝臓で遊離脂肪酸から合成されるケトン体が,筋肉やその他の末梢組織でエネルギー源として使われるようになります(図9 - 1).インスリンの分泌・作用が極端に低下した場合(1 型糖尿病など)でもブドウ糖が利用できなくなるため,血中のケトン体が増加し,適切なインスリン補充がなされない場合はケトアシドーシス(インスリン不足によるケトン体の過剰産生から体液が大きく酸性に傾き,生命維持が困難になる可能性のある重篤な病態)にいたることもあります(p. 34 参照). 血糖値を適正な範囲に保つうえで,栄養摂取に伴う消化管からのシグナルも重要です.炭水化物や脂質の経口摂取に伴って,消化管に分布する内分泌細胞から分泌され,膵臓のβ細胞に作用してインスリン分泌を促進するホルモンをインクレチンといいます.インクレチンとしてはグルカゴン様ペプチド1 glucagon-like peptide-1(GLP-1)および胃図9 - 1 食事摂取時・絶食時の血糖調節食事摂取時食事摂取低下・絶食時インスリンインクレチン肝臓筋肉脂肪組織膵臓小腸肝臓筋肉脂肪組織ブドウ糖ブドウ糖ブドウ糖膵臓小腸グリコーゲングリコーゲンケトン体グリコーゲングリコーゲン脂肪脂肪ブドウ糖ブドウ糖