ブックタイトル患者さんと医療スタッフのためのモチベーションUP!糖尿病教室

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患者さんと医療スタッフのためのモチベーションUP!糖尿病教室

60 STEP 3 糖尿病の診断と治療はじめに 糖尿病はインスリンの作用不足による慢性的な高血糖状態が原因となって,さまざまな合併症をきたす疾患です.糖尿病合併症の発症・進展予防には血糖値を適正な範囲に調整することが非常に重要です.糖尿病の診断や血糖コントロールの指標には血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が用いられます.9-1 血糖調節機構 ブドウ糖は不可欠のエネルギー源であり,不足すると正常な生体の機能が維持できません.そこで食物を消化・吸収して得たブドウ糖を細胞に蓄え,必要時に血中に放出するという機構が発達しました.この機構が正常に機能すれば血糖値は一定の範囲に保たれます.食物中の炭水化物はブドウ糖に分解されて小腸から吸収され,門脈に入ります.門脈を通って肝臓に到達したブドウ糖の約半分が肝臓にグリコーゲンとして蓄えられ,残りの半分が大循環に入って血糖値を上昇させます.食物摂取が不足した場合,肝臓に蓄えておいたグリコーゲンをブドウ糖に分解し,血液中に放出します.グリコーゲンが枯渇すれば,乳酸やアミノ酸など糖質以外の物質をブドウ糖に変えて(糖新生),血糖値を上昇させようとします.血糖値が上昇するとブドウ糖は肝臓に取り込まれ,グリコーゲンや脂肪として蓄えられます.さらに骨格筋や脂肪組織にもブドウ糖が取り込まれ,それぞれ筋グリコーゲン,脂肪として貯蔵されます.血糖値の調節には自律神経系とホルモン系のコントロールが大きな役割を担っています.交感神経刺激,グルカゴン,成長ホルモン(GH),グルココルチコイド,アドレナリンなど複数の因子が血糖を上昇させますが,血糖低下に働くのはインスリンだけです. インスリンは膵臓のなかに島状に分布する細胞の集まりである膵島のβ細胞で合成・分泌されます.インスリンはつねに少量ずつ分泌されています.これを基礎分泌といいます.食物摂取などによって血糖値が上昇すると,それを感知した膵臓のβ細胞は基礎分泌の数倍量のインスリンを分泌します.これを追加分泌といいます.インスリンのおもな作用は肝臓からのブドウ糖の放出抑制,骨格筋と脂肪組織へのブドウ糖の取り込み促進であり,その結果として血糖値が低下します. 肝細胞に取り込まれたブドウ糖は,インスリンの作用によってグリコーゲンとして蓄積されます.さらにインスリンは糖新生に必要な酵素の発現を減らすことで,肝臓から9あなたの知らない血糖値の世界糖尿病にとって重要なキーワードは,①血糖値,② インスリン,③HbA1c, の3つです. それぞれ平易な言葉で説明できるようにし, 患者さんに理解してもらいましょう.POINT