ブックタイトルケースに学ぶ 高齢者糖尿病の診かた

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概要

ケースに学ぶ 高齢者糖尿病の診かた

20  Ⅱ.見逃せない! 知っておきたい急性期反応とその対応3 重症低血糖をどう防ぐ?糖尿病,高血圧,脂質異常症にて近医でフォロー中である.68歳ごろ視力低下を認め眼科を受診したところ,糖尿病を指摘され,経口薬療法開始となった.HbA1c 9%台と血糖コントロール不良であり,メトホルミン500 mg/日,アログリプチン 25 mg/日,ピオグリタゾン30 mg/日の服用に加えて,グリメピリドが増量された. 75歳時の8月に38℃の発熱,食欲低下を認めるも,服薬は継続していた.2日後,呂律不良,歩行障害を認めたため,救急外来を受診した.血糖値は36 mg/dLであり,ブドウ糖の静脈内投与にて症状改善を認めた.父:糖尿病,胃がん.弟:糖尿病.肺気腫,前立腺肥大症,腰部脊柱管狭窄症,胆石,網膜症(レーザー光凝固術後).妻および長男と同居.以前は大酒家であったが,45歳からは機会飲酒.喫煙は20歳から現在まで10本/日.身長 163.4 cm,体重 70.5 kg,BMI 26.4 kg/m2.血圧 155/86 mmHg,脈拍 76/分 整,体温 38.5℃.頭頸部,胸部に異常なし.腹部:膨満,軟,圧痛なし,両側肋骨脊柱角(CVA)叩打痛あり.脳神経領域に異常なし.アキレス腱反射正常,下肢の振動覚低下.足背動脈触知良好.WBC 11,810/μL Hb 13.8 g/dL Plt 23.9×104 /μL AST 38 U/LALT 17 U/L BUN 26.1 mg/dL Cr 1.07 mg/dL CRP 7.42 mg/dLCys-C 1.75 mg/L T-Cho 121 mg/dL HDL-C 27 mg/dL TG 102 mg/dLLDL-C 74 mg/dL 血糖値 36 mg/dL HbA1c 5.6% GA 19.2%尿検査 尿蛋白( -) 尿糖( 3+) 尿ケトン体( -) Nit( +)尿沈渣 WBC( 2+) 細菌( 3+) Ccr 35.4 mL/分 尿アルブミン 23mg/日尿蛋白 (蓄尿) 40.1 mg/日心電図 HR 75/分,洞調律,左室肥大ありCVR-R 1.59%胸部XP CTR 60%,肺の過膨張あり,肺炎像なし腹部XP 骨盤内膀胱を確認(尿貯留)腹部エコー 膀胱尿貯留1,000 mL,前立腺肥大あり,左右腎は大きく水腎症を認める自立している.現病歴家族歴既往歴生活歴身体所見主要検査所見ADLCASE 78歳男性.スルホニル尿素(SU)薬を服用中に,尿路感染症により食欲低下をきたし,重症低血糖を生じた1症例.