ブックタイトル薬剤師が知っておきたいチーム医療実践のための感染症検査

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概要

薬剤師が知っておきたいチーム医療実践のための感染症検査

第4 章 微生物学的検査による病原微生物の推定と同定─ 臨床検査技師と薬剤師との共通言語─86 微生物学的検査(微生物検査)のグラム染色は,感染臓器から採取した検体から微生物(細菌)を顕微鏡で観察することを目的とした感染症検査である.また,グラム染色は簡便・迅速に感染臓器の今の状態を把握できることから,感染症診療のプロセスにおける抗菌薬の選択や治療効果の評価を補助する検査としてリアルタイムな活用が求められる. 本節では,グラム染色から得た情報をどのように解釈して薬学的アプローチに活用するのか,その考え方や方法ついて解説する.1 グラム染色から得られる情報 グラム染色は細菌の存在を観察し,さらに染色態度から菌種を推定することができる.また,細菌とともに染色された細胞(遊走した好中球や混入した扁平上皮など)との関係性は,培養検査から起因菌を判断する際に不可欠な情報である. a.細菌の染色態度と菌種の推定 グラム染色は,細菌の形態(球菌と桿菌)と染色性(グラム陽性:濃紫色, グラム陰性:赤色)の染色態度から起因菌となる細菌の存在を観察する.そして感染症を特定した感染臓器の種類と観察された細菌の形態や配列の特徴から菌種の推定も可能である(表4-1). これらグラム染色態度の情報は,抗菌薬療法を開始する際に,抗菌スペクトルの異なる抗菌薬から起因菌のカバー率がより高い治療薬を選択するための根拠となる.b.検査精度を担保する検体の質の評価 微生物検査は,適切に採取された質のよい検体(起因菌を特定できる)を用いなければならない.検体の不適切な採取は口腔などの粘膜や皮膚の常在菌などの汚染を招き,検査結果の誤った解釈につながる.グラム染色で検体中の細胞(好中球,扁平上皮)を観察することは,採取した検体の質の評価に有用である.特に常在菌の混入が避けられない検体(喀痰,開放性膿汁,中間尿など)は,検体の質を念頭に検査データを判読しなければならない. 喀痰の場合は,グラム染色所見(顕微鏡倍率100倍)から好中球と扁平上皮の数量をカウントするGeckler の分類1)で質の評価を実施する(表4-2).喀痰のグラム染色所見を図4-1に示す.図4-1a は,好中球が優勢で呼吸器感染症の起因菌をみつけるのに適した膿性痰(良質検体:Geckler の分類─G5)である.図4-1b は,扁平上皮細胞が優勢で口腔常在菌の混入を示唆するために,検査に用いてはならない唾液性痰(不良検体:Geckler の分類─G1)である.1 グラム染色