ブックタイトル薬剤師が知っておきたいチーム医療実践のための感染症検査

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概要

薬剤師が知っておきたいチーム医療実践のための感染症検査

33血球検査?c.Hb Hb増加およびHb減少は,それだけが単独で感染症によって引き起こされることは一般的ではないと考えられる.ただし,WBC,PLT,Hb すべてが低下する汎血球減少はウイルス感染,重症感染でみられる.また,思春期女性において,H.pylori 感染による慢性胃炎によって鉄吸収低下を生じることにより貧血を起こすことがあり,除菌療法により軽快することが多いようである.また,抗菌薬による免疫性溶血性貧血を認める場合もある.実 践 編症例184歳,女性.身長150cm,体重45kg.糖尿病. 食事管理不良.昨日より39℃の発熱,悪寒,嘔気を認め,糖尿病内分泌内科外来を受診.同日緊急入院となった.[血球検査](受診時)WBC 27,480/μL,NEUT 26,300/μL(97.0%),Hb 13.0g/dL,PLT 13.8 ×106/μL WBC およびNEUT増多を認める.一方,Hb,PLT は正常値である. 当該患者ではこのほかに,血圧低下(正常時の血圧160/100 台→ 117/68mmHg),頻脈(120/分),高血糖(496mg/dL),脱水を伴う急性腎傷害(SCr 1.75mg/dL,BUN 83.7mg/dL),C反応性タンパク(CRP)30.1mg/dL,プロカルシトニン(PCT)28.1ng/mL,また尿定性で膿尿を認めた.患者は,尿路感染症,脱水症,高血糖高浸透圧症候群と主治医に診断され,乳酸リンゲル液とともに,メロペネム0.5g,8時間ごと(点滴1時間)の投与が開始された.同日入院後に採取された血液培養2セットと尿培養から大腸菌が検出された.感受性に基づいてセファゾリン 1 g 12 時間ごと(点滴1時間)へ変更された.最終結果:ウロセプシス(起因菌:大腸菌)症例256歳,男性.身長165cm,体重51kg. 十二指腸癌,多発大腸癌で手術目的に外科へ入院.入院後3日目に幽門部胃切除,B?I再建,結腸全摘出術が施行された(予防抗菌薬フロモキセフ).入院4日目にドレーン排液から腸液を認め,縫合不全の診断で緊急開腹となり,洗浄ドレナージ,胃瘻造設術が施行された.[血球検査](入院4 日目)WBC 1,530/μL,NEUT 1,100/μL(71.9%),Hb 13.0g/dL,PLT 12.5 ×106/μL