ブックタイトルメタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

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メタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

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メタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

6.食後高血糖はどれほど危険か? 55 食後高血糖を示す2 型糖尿病患者(症例7)に対し,早朝空腹時に試験食を用いた食事負荷試験を4 日連続で行い,グリニド薬とα-GI の併用効果を検討した成績では,ミチグリニドとボグリボースの併用時は,食後血糖値が相加的に低下するとともに,ミチグリニド単独投与時と比較してインスリン分泌のピーク値が低下し,さらに90 分以降のインスリン値も低下するのが観察された(図6-7)4).また,自然発症2型糖尿病モデル動物を用いて,経口スクロース負荷後のインスリン分泌と血糖値におよぼすグリニド薬とα-GI の併用効果を検討した成績では,ミチグリニドとボグリボースの併用は,ミチグリニド単独投与時のみならず非投与時と比較してもインスリン分泌総量を減少させた5).すなわち,グリニド薬とα-GI の併用は,初期インスリン分泌を改善させるのに加えて食後高インスリン血症を是正させ,食後のインスリン分泌動態を健常人のそれに近づけるものと考えられ(図6-8),長期的にはSTOP-NIDDM同様,メタボリックリスク因子の改善に結びつく可能性もある.F 食後高血糖をどうしたらうまく下げられるか?体重減少効果の視点から1.GLP-1受容体作動薬 現在,明確な体重減少効果を示す経口血糖降下薬はなく,グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬は,現時点でわれわれが使用できる唯一の体重減少効果が期待できる糖尿病治療薬である.GLP-1受容体作動薬を作用時間の違いから分類すると,大きく「短時間作用型」と「長時間作用型」に大別され,この作用時間の違いが各薬剤の効果の違いに大きく関連している6).「短時間作用型」は,空腹時血糖値よりも食後血糖値を低下させる作用が強く,このためHbA1c低下作用は長時間作用型よりも軽度であるが,胃排出能遅延が持続するため消化器症状の出現も比較的多い反面,体重減少効果も強い.これに対し,「長時間作用型」は,空腹時インスリン分泌を強く促進させて空腹時血糖値を強力に低下させるため,HbA1c低下作用は短時間作用型よりも強いが,胃排出能に対しては影響が少なく,消化器症状の出現も少ない反面,体重減少効果も軽度である.すなわち,現在,わが国で使用可能な4 つのGLP-1受容体作動薬の臨床効果は決して同等ではなく,投与回数や保険適用上併用可能な薬剤以外にも,個々の患者の病態に合わせて各GLP-1受容体作動薬を使い分けるべきである.とくに食後高血糖の視点からは,減量によりメタボリックリスク因子の改善も期待できるような肥満を伴った食後高血糖を呈する糖尿病患者に対しては,短時間作用型GLP-1受容体作動薬が選択されるべき薬剤と考えられる.2.SGLT2阻害薬 2014 年に新しい作用機序の経口血糖降下薬であるナトリウム依存性グルコース共輸送体2 sodium-glucose co-transporter 2(SGLT2)阻害薬が上市される予定である.SGLT2阻害薬は,近位尿細管に存在するSGLT2のグルコース再吸収を選択的に阻害することにより,腎糖排泄閾値を低下させ,過剰なグルコースを尿糖として排泄させる結果,血糖値を低下させる.尿糖として排泄される糖の量は,1 日あたりグルコース換算で約90 ~ 100 g,カロリー換算で約400kcal を排泄する.摂取カロリーを体外に排泄することから,SGLT2阻