ブックタイトルメタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

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メタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

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メタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

5.糖尿病を治せないか? 39はじめに 糖尿病,なかでも2 型糖尿病はcommon disease の代表であり,戦後,もっとも増加した疾患のひとつである.最近発表された平成24 年国民健康・栄養調査1)では,糖尿病が強く疑われる者と糖尿病の可能性が否定できない者の合計が2,050 万人と,前回調査(平成19 年,2,210 万人)と比べて初めて減少に転じたと報告されている.しかしながら,糖尿病が強く疑われるものは950 万人と,前回調査(890 万人)と比べて増加しており,その1/3がこれまで治療を受けたことがないか,現在治療を受けていない点はきわめて重要で,とりわけ40 歳代では約60%がこれまで治療を受けたことがないか,現在受けていないと報告されている.糖尿病はいうまでもなく,さまざまな合併症により患者のQOLを低下させることから,その予防や治療の向上は国民の健康上,重要な課題である.インクレチン関連薬が上市されて4年が経過し,その間,全体的には血糖コントロールが改善している,との報告が多い.しかしながら,インクレチン関連薬のみで糖尿病を退行(治癒)させる可能性がある,との期待に応えているとはいえない.さらに,新規の作用機序の経口薬であるSGLT2(ナトリウム依存性グルコース共輸送体2)阻害薬も臨床の場に登場し,インスリンも新しい持効型インスリン製剤や,注入器も使用可能となっている.糖尿病と闘う「武器」が増えたなかで,どう戦うか「俺流」に考えてみたい.A 改訂された糖尿病治療目標:治療の個別化と同時に,治療目標の個別化が重要 2013 年5 月,熊本での日本糖尿病学会年次学術集会で改訂された糖尿病治療目標が発表された.従来の「優」「良」「可(不十分・不良)」「不可」という区分から,合併症予防のための目標(7.0%未満)を中心に,血糖正常化を目指す際の目標(6.0%未満),治療強化が困難な際の目標(8.0%未満.図5-1)が設定された2). 今回の改訂は,ひとつには,HbA1cの国際標準化に伴ってのものであるが,同時に,治療目標もまた,患者個人の状況を考慮して(年齢,罹病期間,臓器障害,低血糖の危険性,サポート体制など)個別に設定すべきであることをより明確にしたものである. 中心となる7.0%未満は,合併症(とくに細小血管障害)を予防するための目標としてKumamoto Study 3)に代表されるわが国でのエビデンスにも基づくものであり,国際的にも標準となっている.したがって,可能な限り,すべての患者でこの目標を達成すべきであると考える.一方,7.0%未満は,健常人に比べると依然として高値であり,動脈硬化谷澤幸生5 糖尿病を治せないか?俺流処方[糖尿病・肥満]