ブックタイトルメタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

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メタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

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メタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

32 糖尿病・肥満はじめに ブドウ糖を経口投与すると,経静脈投与した場合よりインスリン分泌量が多くなる.これは,腸管から分泌されるインクレチンの作用と考えられている.インクレチンのおもなものとして,小腸下部のL細胞から分泌されるグルカゴン様ペプチド-1 glucagon-like peptide-1(GLP-1)と小腸上部のK細胞から分泌されるグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチドgastric inhibitory polypeptide/glucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)がある.インクレチンはジペプチジルペプチダーゼ-4 dipeptidyl peptidase-4(DPP-4)によって速やかに分解され,非活性型となるため,活性型インクレチンの血中半減期は数分と短い.このDPP-4を選択的に阻害することによりインクレチン作用を増強させるDPP-4阻害薬と,DPP-4による分解を受けにくいGLP-1受容体作動薬が開発された. これらインクレチン関連薬は実臨床に登場してからの期間が短く,糖尿病合併症の抑制に関するエビデンスは確立されていないが,優れた血糖改善効果とともに低血糖を起こしにくい点やさまざまな膵外作用の可能性などの点から,現在,臨床の場で広く使用されている.本章ではおもにDPP-4阻害薬について述べる.A インクレチン関連薬は,すべての糖尿病患者のファーストドラッグか? 糖尿病治療の基本は食事療法・運動療法であり,これらをおろそかにして治療を進めることはできないが,患者それぞれの病態に応じて,適切な時期に適切な薬剤を投与することにより,糖尿病合併症の進展を抑制することが重要である. 欧米では,米国糖尿病学会(ADA)/欧州糖尿病学会(EASD)のステートメントにおいてビグアナイド薬がファーストドラッグとされているが1),わが国では画一的なガイドラインはない.日本人においても,肥満を有する糖尿病患者にはビグアナイド薬がファーストドラッグと考えられる.しかし,高齢者や腎機能が低下した患者など,乳酸アシドーシスのリスクがあり,ビグアナイド薬が使いづらい患者には,DPP-4阻害薬がファーストドラッグの候補としてあげられる.また,日本人に多い非肥満の糖尿病についても,以下の理由でファーストドラッグに適していると考えられる.① 安全性 DPP-4阻害薬は理論上,低血糖のリスクはきわめて低い.食事量が変化した場合などでも安全性が高い.山田祐一郎  高嶋 悟4 インクレチン関連薬を使いこなす俺流処方[糖尿病・肥満]