ブックタイトルメタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

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メタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

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メタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

23.老年内科の使命179文献1) Akishita M,Ishii S,Kojima T,Kozaki K,Kuzuya M,Arai H,Arai H,Eto M,Takahashi R,Endo H,Horie S,Ezawa K,Kawai S,Takehisa Y,Mikami H,Takegawa S,Morita A,Kamata M,Ouchi Y,Toba K:Priorities of health careoutcomes for the elderly.J Am Med Dir Assoc,14:479-484,2013.2) 日本老年医学会編:健康長寿診療ハンドブック-実地医家のための老年医学のエッセンス-,メジカルレビュー社,p.109,2011.3) Li NC,Lee A,Whitmer RA,Kivipelto M,Lawler E,Kazis LE,Wolozin B:Use of angiotensin receptor blockers and riskof dementia in a predominantly male population:prospective cohort analysis.BMJ,340:b5465,2010.ド薬は服薬アドヒアランスに難がある. 高齢者医療は,臓器・疾患別医療の延長ではうまくいかない.多病の高齢者を疾患ごとのガイドラインに盲目的にしたがって治療すると,断片的で不完全な治療が多数提供されてしまい,結果も好ましくないことが最近数多く報告されている.発想を転換して,個々の高齢者に最適な管理方法を探ってほしい.ADL自立,認知機能正常要介護+管理体制不備高血圧 SBP<140 mmHg糖尿病 HbA1c<7.0%高血圧 SBP<160 mmHg糖尿病 HbA1c<8.5%高血圧 SBP<150 mmHg糖尿病 HbA1c<8.0%高血圧 ARB*(降圧を急ぐ場合はCa拮抗薬)を優先糖尿病 DPP-4 阻害薬を優先・少量で開始し,有害作用に留意しつつ十分量まで増量・なるべく各病態単剤1日1回1錠でコントロールを目指す・合剤,一包化を導入して管理しやすくSBP:収縮期血圧,HbA1c:ヘモグロビンA1c,ARB:アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬,DPP-4 阻害薬;ジペプチジルペプチダーゼ-4 阻害薬*:誤嚥性肺炎のリスクが高い場合はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を優先.後期高齢者の基本的目標図23 - 1 後期高齢者に対する「俺流」管理の考え方必要最低限の医療を考える 本章で述べられているように,超高齢化社会を迎え,寝たきり,認知症の進む高齢者の医療を実践するには,その予後,介護する家族のQOL も含めて考えると,「必要最低限の医療」という全く別次元,別の哲学に基づく医療の構築が要求されます. たとえば,インスリン治療を要する認知症のある糖尿病患者さんで,インスリン注射をしてくれる家族がいないような場合,最近開発された,1 週間1 回注射のGLP-1 受容体作動薬を訪問看護の際に注射することで,最低限,高血糖を防止することもひとつの選択肢になりえます.そうした新しい医療を「俺流」に模索することが,今後ますます必要になっていきます.(伊藤 裕)Editor’s Note