ブックタイトルメタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

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メタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

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メタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

21.摂食障害は管理できるのか? 163CD-ROMを利用した簡便な治療もある.また,薬物療法,とくに選択的セロトニン再取り込み阻害薬selective serotonin reuptake inhibitors(SSRI)の過食と抑うつに対する短期効果は証明されている.そのため,患者自身が症状をコントロールし,合併症をセルフケアしてQOLを向上させることが可能であり,それを治療目標にしている.C 神経性過食症の治療1.認知行動療法① 認知行動療法とは 1980 年代に認知療法と行動療法が統合されて発展し,大規模臨床研究によってうつ病,不安をはじめ神経性過食症でも有効性が実証されている.外的な出来事をどのように認知するかによって身体反応や感情,行動が異なる,そこで認知を修正することで行動に変化をもたらし気分を改善できる,という理論に基づく.治療者と患者の共同作業で,1 時間の心理面接を10 回など特別な枠組みと期間で行われる.内容は,自己モニタリングによって発症の準備因子,誘発因子,持続因子を見つけて,それらの因子と相互作用を図式化する問題全体の見取り図を描き,患者が変えたいことに対して,具体的な解決方法を計画する.その後も,行動を記録して,問題行動を維持している要因を確認・修正する作業を行う.② 神経性過食症における認知行動療法的アプローチ 本症患者には全か無の思考,悪いことをすべて自分に関連づける(自己関連づけ),一つ悪いとすべて悪いと決めつける(過度の一般化),ある点だけに強くこだわる(選択的抽出)などの認知の偏りや自分を追いつめる完璧癖や強迫思考があり,これらが発症,誘発,持続に深く影響している.図21-2 のように,上司からの注意に対して合理的な解決法を考えるのではなく,太っていることが原因と誤認して寂しさや不安という感情から過食や上司に「もっとテキパキ働きなさい」と注意された状況飢餓うつ状態生理機能厳格な食事制限過食・嘔吐行動イライラ不安落ち込み感情太っているから愚鈍にみられるやせていないと嫌われる歪んだ認知図21 - 2 状況,認知,感情,行動,生理機能と環境因子の相互作用の見取り図上司の叱責という状況を,太っているから愚鈍にみられると認知し,体重や体型をコントロールできなければ自分に価値がないという思い込みが発生し,寂しさや不安という感情をもつことにより,厳格な食事制限や過食,嘔吐などの行動が起こっている,さらに,飢餓が過食を刺激し,不安などの感情は動悸や腹痛を起こすという,状況,認知,感情,行動,生理の相互作用の見取り図ができる.