ブックタイトルメタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

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メタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

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メタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編

19.不整脈のニューエビデンス151 カテーテルアブレーション後は,ガイドラインに示されているとおり,3 カ月は抗凝固療法を継続することが勧められている.アブレーション後,1 年間心房細動が再発しなければ,アブレーション治療は成功したとされているが,長期的に再発があることはすでに示されており,現時点では,カテーテルアブレーションで,すべての心房細動が根治するとはいえない.症例数の蓄積とともに,カテーテルアブレーションによって脳卒中の発症を減らせるとの報告も散見される5)が,現時点では,カテーテル治療後に抗凝固療法を中止できるのかについては,専門家の間でも意見が異なっており,今後の検討課題といえる.現時点では,CHADS2 スコア0 点のような症例を除けば,原則,抗凝固療法は継続するのが妥当といえるだろう.C 心房細動の管理─新規抗凝固薬(ダビガトランなど)の立ち位置は?─ 心房細動において,脳梗塞は重篤な合併症である.脳梗塞発症後の1 年生存率は,約50%とする報告もあり,また死亡に至らなくとも,片麻痺などの重篤な後遺症を残す例も多い.心房細動と診断したならば,脳梗塞の予防のために抗凝固療法を行うことが必要であるが,抗凝固療法は出血リスクを増大させるため,脳梗塞予防と出血リスクの層別化が必要になる.また,発作性心房細動であっても慢性心房細動と同様に脳梗塞のリスクを有すると考えられており,抗凝固薬の開始を考慮しなければならない. 脳梗塞のリスクは,CHADS2 スコアおよびCHA2DS2-VASc スコアが頻用されている.CHADS2 スコアは,C:心不全,H:高血圧,A:年齢75 歳以上,D:糖尿病(以上それぞれ1 点),S:脳梗塞/TIA の既往(2 点)で,計算される.新規経口抗凝固薬novel oralanticoagulation(NOAC)の登場により,2009 年の緊急ステートメントでダビガトランが記載され,5 年ぶりに改訂された心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013 年改訂版)では,保険適応未承認のエドキサバンを含めて4 種類のNOACが記載された.それぞれの大規模臨床試験の結果を受けて,CHADS2スコア1点では,ダビガトラン・アピキサバンが推奨,リバーロキサバン・エドキサバンが考慮可となり,CHADS2 スコア2 点以上では,4 種類のNOACがワルファリンと並んで推奨されている. CHA2DS2-VASc スコアは,CHADS2 スコアをより細分化したものであり,C:心不全(1点),H:高血圧(1点),A:年齢75 歳以上で2点,65 歳以上で1点,D:糖尿病(1点),S:脳梗塞/TIA の既往(2 点),VA:動脈硬化性疾患(1 点),Sex:女性(1 点)で計算される.CHADS2 スコアと同様に,1 点以上でNOAC抗凝固療法の適応となる3).CHA2DS2-VAScスコアの意義としては,年齢65 歳以上は脳梗塞リスクが高いとカウントする点,そしてCHA2DS2-VASc スコア0 点として,抗凝固療法が不要な群を確認できる点と考えられる.すなわち,抗凝固療法の不要な群は,65 歳以下で高血圧や糖尿病などの合併疾患をまったくもたない患者に限られ,65 歳以上になれば抗凝固療法の開始を検討する必要があることが明らかになった点であるといえる. 一方で,出血のリスク因子として,HAS-BLEDスコアが知られている4).これは,H:コントロール不良な高血圧,A:腎機能・肝機能異常,S:脳卒中,B:出血性疾患,L:PT-INR prothrombin time-international normalized ratio(プロトロンビン時間- 国際標準化