ブックタイトルメタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編
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メタボリックドミノに挑む 俺流処方 糖尿病・腎・内分泌疾患編
12.キケンなCKDは? 99 まず,アウトカム側からみてみよう.日本透析医学会による透析導入原疾患に関する正確なデータがある.ESRDの原疾患は,糖尿病,慢性糸球体腎炎,腎硬化症の順である.これに多発性嚢胞腎,慢性腎盂腎炎が続く.時代とともに順位は入れ替わったが,腎不全の原因は糖尿病,腎炎,腎硬化症の3 主要疾患である.さらにこの3 主要疾患の間でも,CVD発症リスクが異なる.慢性腎炎と比較して,糖尿病性腎症,高血圧性腎症のCVD発症リスクは,それぞれ約6倍,約3.5倍高い2). 一方でCKDの発症要因側からみるとどうだろうか.CKD発症要因として列挙されるのは,糖尿病,肥満・メタボリックシンドローム,高血圧,脂質異常症,喫煙,加齢などであり,CKDは生活習慣病と高齢化を反映しているように思える. より平易に簡明な定義を目指して生まれたCKDの概念であるが,2つのグループに大別されるのではないだろうか.① 慢性腎炎や腎硬化症など,蛋白尿を呈しながらESRDへ進行する一群,②アルブミン尿から始まり,より早い段階でCVDを高率に発症する一群,すなわち,高血圧,メタボリックシンドローム,加齢,喫煙などに起因する一群である(図12-2).糖尿病は両者の特徴を有している.B CKD 治療におけるCa 拮抗薬,利尿薬の立ち位置は?特性を知って,上手に使い分ける1.糸球体濾過,微小循環調節機構を理解する 高血圧が腎障害を強力に進展させ,逆に降圧療法によって腎障害の進展が抑制される.CKDで第1 選択薬として使用される降圧薬は,レニン- アンジオテンシン(RA)系阻害薬,Ca拮抗薬,利尿薬の3つである.三者の特性を理解するためには,腎臓の微小循環動態を理解することが役に立つ. 単一糸球体のGFR(SNGFR)は下の式で決定される.SNGFR=Kf ×(ΔPGC-Δπ) Kf 値(濾過係数)は糸球体血管壁の水伝導率(k )と血管壁の有効総濾過面積(S )で決定される.腎・糸球体血流量が増加すると有効総濾過面積が増大するため,Kf 値が増大する.糖尿病,腎炎などでは糸球体血管壁に器質変化が生じるため,k 値が低下し,Kf 値は減少する. ΔPGC は糸球体内圧とボウマン嚢内水圧の差で規定される有効静水圧差である.糸球体内圧は動脈圧と輸入細動脈,輸出細動脈の血管抵抗によって決定される.流入細動脈には自動調節能が存在するので,全身動脈圧の影響は少なく,輸出/輸入細動脈が実質的には糸球体内圧を決定する.Δπは糸球体内とボウマン嚢内の膠質浸透圧差である.蛋白尿が出現するとΔπは増大し,GFRを低下させる方向に働く.2.アンジオテンシンⅡの腎微小循環への作用とCKDの病態 体液液量減少時などにレニン活性化,アンジオテンシンⅡ(AngⅡ)産生が亢進する.AngⅡは腎内細動脈,輸入細動脈,輸出細動脈を収縮させ,腎血流量を減少させる.そのため,Kf 値も減少する.輸出細動脈収縮がより強く生じるため,糸球体内圧,ΔPGC は増