ブックタイトル目指せ感染症マスター!抗菌薬処方支援の超実践アプローチ

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目指せ感染症マスター!抗菌薬処方支援の超実践アプローチ

35? 尿路感染症染症っぽい」というだけで抗菌薬を使用した場合,多くの場合は何となく良くなる経過をたどるかもしれないが,感染源や起因菌を想定していないために抗菌薬の投与量・投与間隔・投与期間が中途半端となって,結果的に不十分な治療(partially treated)で感染症自体が再燃したり,さらなる悪化を招くことがあるからである.また,抗菌薬の使用後の血液培養は,その培養結果にも影響し,起因菌をつめる作業が困難になるケースもある.プロブレムリストでここまでの情報を整理!■ #1 一過性意識消失-多発性脳梗塞-脳梗塞の既往あり-ステント術後■ #2 胸部大動脈瘤  ■ #3 発熱(spike fever)■ #4 食欲は以前より旺盛■ #5 腰背部痛(鈍痛)■ #6  尿グラム染色有意所見 -白血球多数,GNR-M多数■ #7 呼吸器症状なしQ2 医師の提示している疾患以外に注意すべき鑑別疾患はありませんか?A2抗菌薬の提案と経過1 抗菌薬提案前の頭の中の鑑別疾患抗菌薬の提案をする前に,前提となるのが本当に尿路感染症か?というスタンスである.これは医師を信用していないわけではなく,高齢者では感染症を発症していなくても細菌尿になりやすく(無症候性細菌尿),ほかに何か取りこぼしがないか十分に吟味する必要がある.間違った治療では患者の症状が悪くなることもあり得るため,抗菌薬の処方提案も責任が重大で真剣勝負である.尿路感染症は,よくみる感染症で一見簡単な感染症のようでありながら,実は他の部位の感染症などを除外しながら診療することを求められる総合内科的疾患である.本症例で鑑別すべき疾患は,薬剤師も普段から真剣勝負していると思いますが,一般的に薬剤師は病名ありきで治療に関与するため,確定診断前の状況から関与する場合は取りこぼしがないように注意しながら処方提案が必要となるでしょう.そうですね.理想は全例TEEなのかもしれません.しかしTEEはやや侵襲的で高価な検査であること,また医療機関によってはできない施設も多いでしょう.よってその適応も含めて安易に大声で提示するのではなく,周りへの配慮が必要です.海外でもガイドラインによって指針に違いがありますが,日本やヨーロッパなどでは基本的にはTTEで診断がつかない場合にTEEを選択するという流れになり,現実的なアプローチと考えます.