ブックタイトルNICUにおける抗菌薬の使い方10の秘訣

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概要

NICUにおける抗菌薬の使い方10の秘訣

 日齢19 には解熱し,髄液検査で細胞数43,360/3/μL と上昇しているものの,検鏡で細菌は検出されなかった.日齢24 に髄液培養のE. coli の薬剤感受性を確認後にABPC を中止したが,日齢24 の髄液培養からE. coli の発育を認めた. 入院時の頭部CT では明らかな異常所見はなかったが,日齢26,日齢29 のMRI で上脳室内膿瘍を認めた.以上の経過からCTX の効果不十分とし,日齢29 からLMOX4 4 4 4(16044444mg4 4/4kg4 4/4日4)へ変更4 4 4 4した. LMOX はグラム陽性球菌には抗菌力が弱く,現在ほとんど使用されていない抗菌薬の一つである.春田らによる,家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における各種β?ラクタム系薬100 mg/kg 静注時のAUC CSF/serum(%)をみると,LMOX,ABPC,CAZ の順に髄液への移行性が優れていることが分かる(表2?3)1).種差はあるがLMOX はヒトでも髄液移行性に優れた抗菌薬であり,グラム陰性桿菌による化膿性髄膜炎においては十分に選択肢となり得る.ほかに髄液移行が良好とされる抗菌薬としてCP が挙げられるが,第1 章6 項(p56)に記した副作用の問題があるため,その使用には制限があることを認識しなければならない.また,脳室炎・脳室内膿瘍を合併している場合には,抗菌薬投与量と投与期間には慎重な判断が要求される.細菌培養の経過と画像を参考にして決定するが,合併がない場合に比較して長期になることがほとんどである. 日齢32,35,43 の髄液培養でE. coli 陰性を確認し,日齢49 にLMOX を中止した[図1?15(p25)].軽快後,定期的に外来で発達・発育について経過観察しているが,特に後遺症は認めていない.持続する髄液培養陽性・抗菌薬投与開始後72 時間を超えて髄液培養陽性が持続する場合は,脳室炎・脳室内膿瘍を合併している可能性が高い!・抗菌薬の変更あるいは用法・用量の変更を考慮!・髄液移行を考慮した抗菌薬の選択が重要!ポイントここがグラム陰性桿菌による化膿性髄膜炎・LMOX やCP も選択枝となり得る!・ただし,副作用には十分な注意が必要!ポイントここが表2?3  家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における髄液移行抗菌薬AUCCFS/serum2 時間まで(%)LMOX 18.7ABPC 16.8CAZ 16.2PAPM 15.9IPM 14.1CTRX 13.8CPZ 12.7CTX 11.7CMZ 9.60CZX 8.90CPR 8.12AZT 6.53FMOX 4.65PCG 3.70100 mg/kg 静注時(文献1 より引用)136