ブックタイトル心電図と不整脈の手びき 改訂4版
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心電図と不整脈の手びき 改訂4版
心筋炎,QT 延長症候群,心外傷,低酸素血症,完全房室ブロックに伴う著しい徐脈,ジギタリス中毒,電解質異常(高度の高カリウム血症,または低カリウム血症),または感電など.3 急性心筋梗塞のとき(1) 急性心筋梗塞の急性期では,細動域値が低下しているため,心室細動の発現頻度がきわめて高い.とくに重症心室期外収縮(R on T 型心室期外収縮),心室頻拍などに続発して生じる.(2) 心不全や心原性ショックが存在しないときに,突発性に生じる心室細動を一次性心室細動という.心室細動の波形の振幅は大きい. 重要(3) 心不全や心原性ショックに続発する心室細動は,二次性心室細動といわれ,波形の振幅は小さい. 重要(4) 前者はDC ショックによく反応し,予後が比較的良好,後者の予後は極めて不良である. 重要(5) 心室細動は,臨床的には,心停止として理解される,致命的な重篤な不整脈である.4 Brugada 症候群:アジア人の比較的若年の健常者に,特発性心室細動が生じることが知られている.5 心室細動の前駆状態(1) 高度の徐脈があり,心室期外収縮が多発している場合.(2) 多源(巣)性心室期外収縮がみられるとき.(3) R on T 型心室期外収縮がみられるとき.(4) QT 間隔の延長を伴い,心室期外収縮が頻発する場合.(5) 多形性心室頻拍(Torsades de pointes)で,QRS が変動的であるとき.4.臨床的意義) 心室細動では,心臓からの有効な駆血が停止するため,臨床的に,脈拍消失,心音消失,血圧測定不能,意識消失,全身痙攣,失神などが生じる(頻脈型Adams-Stokes 症候群).) 脳血流が?秒停止すると,意識は消失し,10秒間持続すると痙攣が生じ,?分間停止すると,脳に非可逆的な障害が起こる.) その後,血流が回復しても,脳機能の改善は示されない.5.多形性心室頻拍・心室細動の治療1 発作時の治療(1) 自然停止しない場合:米国心臓協会AmericanHeart Association(AHA)によるガイドライン2010 年度版のBLS アルゴリズム(成人)およびACLS 無脈性心停止アルゴリズムに準じて救命処置を行うことが推奨されている.(2) 適切な一次救命処置basic life support(BLS)と二次救命処置advanced cardiovascular life supprt(ACLS)を行うことが重要である.(3) バイスタンダー(居合わせた人,目撃者)による迅速な心肺蘇生cardiopulmonary resuscitation(CPR)と除細動の施行が鍵である.(4) 自然停止するが再発を繰り返す場合:記録された心電図でQT延長の有無を確認する.ⅰ) QT 延長を認める場合:マグネシウム静注,低カリウム血症の補正,徐脈のときは心室ペーシングが最も有効である.先天性QT 延長症候群ではb 遮断薬を投与する.(5) QT 延長を認めない場合ⅰ) 虚血が関与している場合:虚血改善策と共にアミオダロンまたはリドカインを静注する.ⅱ) 虚血の関与がない場合:心機能改善治療と共にニフェカラント,アミオダロン静注を行う.2 再発予防(1) 器質的心疾患があり心機能が低下している場合:植込み型除細動器(ICD)が第一選択.(2) 器質的心疾患はあるが心機能正常軽度低下の場合:ICD の他にアミオダロン投与も有用.(3) 明らかな器質的心疾患を認めない場合:ⅰ) QT 延長を認める場合①原因が明らかな場合:原疾患の治療のみで再発が予防される.②先天性QT 延長症候群の場合:b 遮断薬.再発する場合はICD の適応.ⅱ) QT 延長を認めない場合①Brugada 症候群:ICD の植込みが必要.②カテコラミン誘発性多形性心室頻拍:b 遮断薬.重症例ではICD の植込みを行う.③その他の特発性多形性心室頻拍・心室細動の場合:ICD 植込みが最良である.198