ブックタイトルエキスパートが本音で明かす 不整脈診療の極意

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概要

エキスパートが本音で明かす 不整脈診療の極意

158Ⅴ.デバイスを活用した不整脈治療A 症例提示ICDが本当に必要?Case: 70歳男性,心筋梗塞.左室駆出率30%.有意狭窄なし24S70歳男性.19年前に急性心筋梗塞発症,冠動脈造影(CAG)にて左前下行枝(LAD)#6の完全閉塞があった.この部位に経皮的冠動脈形成術(PTCA)を行い,開存率は75%となった. 9 年後の11 月,急性心筋梗塞(前壁中隔)の再発のため入院した.LAD#7 の狭窄率が99%となっていたので,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)にてステント(MULTILINK2.5mm ×15mm)を同部位に留置した.右冠動脈(RCA)#3にも90%の狭窄を認め,同部位にはPCI ステント(MULTI-LINK 3.5mm × 15mm)を留置して,治療を終了した. 翌年3 月のCAG では,RCA#2 25 %,#3 25 %(instent),LAD#6 25 %,#7 25%(instent)と評価された. 今回(さらに9年後の3月)は,とくに胸痛などの症状はないが,冠動脈の再評価のため入院となった.不整脈の出現を疑わせる動悸や失神もなかった.既往歴:前立腺肥大症.家族歴:母親が心筋梗塞で死亡(77歳).冠リスク因子:脂質異常症.生活歴:喫煙歴20本/日(10年前に禁煙).身体所見:身長167cm,体重78 kg,体温36.5℃,脈拍:58/分,整.呼吸音:清,S3(-),S4(-).腹部:平坦軟,圧痛なし.下肢浮腫なし.血液所見:尿素窒素(BUN)20 mg/dL,クレアチニン(Cr)0.98 mg/dL,Na138mmol/L,K 4.1mmol/L,Cl 105mmol/L, 赤血球数(RBC)487 万/μL, ヘモグロビン(Hb)15.4 g/dL, ヘマトクリット(Hct)45.8 %, 白血球数(WBC)4,030/μL, 血小板数(platelet)19 万/μL,ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)80.1pg/mL,プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)1.88, トリグリセライド(TG)96 mg/dL,HDL-C64 mg/dL,LDL-C 103 mg/dL.BNP が高値を示した以外は,特記すべき異常値はなかった.内服薬:①スピロノラクトン(アルダクトンRA 錠25 mg)1日1回,朝食後,②ロサルタン(ニュ-ロタンR 錠50 mg)2 錠,1 日2 回,朝夕食後,③ アトルバスタチン(リピトールR 錠10 mg)1日1回,夕食後,④ アスピリン(バイアスピリンR 錠100 mg)1日1回,朝食後,⑤ ワルファリン(ワーファリン?錠1.75 mg)1日1回,朝食後,⑥ カルベジロール(アーチストR 錠5 mg)1日1回,朝食後.Case1