ブックタイトル神経診察の極意

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概要

神経診察の極意

36極 意その5両側視野欠損の形がほぼ同一であれば視放線後方の視中枢に近い病変,左右差があれば視放線の前方病変が考えられる.これは,視放線が外側膝状体から出ると側頭葉と頭頂葉に拡がっており,相当大きな病変でないと交叉性・非交叉性視放線がともに障害されないためであり,後方に伸び収斂される視中枢近辺では,ともに障害されるため合同性となる.次に,頭頂葉視野機能をみる視覚消去現象検査がある.正中固視した対座中患者の両視野内に両手示指を同時に提示して,両側ともに見えるか,一側の半盲(無視・消去)があるか検査する.対座検査で視野欠損があれば,詳細な周辺視野検査を施行する.眼科領域では中心視野がより重要であるが,神経内科領域では周辺視野欠損の有無から頭頂葉,後頭葉皮質病変を把握することが,より重要である(図2-8).ただ,多発性硬化症による視神経脱髄病変においては,一側性視力低下とともに中心視野検査で中心盲点拡大や暗点の存在が問題となり,詳細な検索で視神経の乳頭部あるいは球後視神経が確認できる.中心暗点の拡大は対座検査でも慣れれば確認できる.患者と検者の中間位(約40 cm)にハットピンを差し出し検者の正常盲点を確認し図2-7 対座法による視野,盲点検査