ブックタイトル神経診察の極意

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概要

神経診察の極意

30一口メモ脳神経分類の変遷脳神経が現在のように12 対からなることが明らかになったのは,ドイツの解剖学者von Sommerring の1778 年の記載からとされている.それまでの分類facial をvestibulocochlear から分け,glossopharyngeal,vagus,accessory を区別してcranial nerve 1 を脳神経から除いて12対とした 1).それ以前では,Pergamon の医師Galen(AD129-200)は7 つの脳神経(optic,oculomotor, sensory trigeminal, motor trigeminal, facial-vestibulocochlear, glossopharyngeal-vagus-accessory,hypoglossal)しか認めていなかった.16世紀のVesalius の解剖図(1543 年)では7 対の脳神経があり,滑車神経が側頭葉から派生した絵が描かれている(図2-2).Thomas Willis の1664年の解剖図には10 対に増えた脳神経(olfactory,optic,oculomotor,trochlear, trigeminal, abducens, facial-vestibulocochlear,glossopharyngeal-vagus-accessory, hypoglossal,cervical nerve 1)が描かれ,最も細い滑車神経や副神経も描かれている(図2-2).ただし1802 年に発刊されたBell の脳底図には9 対の脳神経しか描かれていない.Galen(AD130-200),Vesalius(1543)やFallopius(1561)まではolfactory nerve は脳神経に入っておらず,Willis(1664)が初めて第1 脳神経として取り上げている.Vesalius’s anatomy Willis’s anatomy von Sommerring’s anatomy図2-2 脳神経の発見歴1 第1脳神経:嗅神経(特殊感覚性脳神経)A 基礎知識鼻腔から入った化学分子が鼻腔最上部嗅粘膜にある嗅覚受容器に達すると,頭蓋内から篩板を通過した嗅神経末端の嗅糸を