ブックタイトル骨・関節疾患の在宅医療

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概要

骨・関節疾患の在宅医療

31.骨・関節疾患診察の基本ている,と認識を変える必要がある.2.医療従事者の対応と治療成績や患者満足度向上との関係患者に対する医療従事者の態度や対応が,治療成績や患者の満足度に深く関与している.この事実は,診療を行ううえで,医師は患者と信頼関係を確立することが大切であることを示唆している.そのためには,まず,医師は患者に共感を示すことである.そして,患者に「自分は医師に受け入れられている」という認識を持ってもらうことである.そのためには,患者の身体の問題だけでなく,患者の心に有している悩み,たとえば,生活の苦しさ,家庭や職場環境に存在する問題など,心理状態や社会的背景にも関心を示して,聞き出すことが必要である.すなわち,医師は患者に関心を持つことである.3.プラセボ効果への認識EBM(evidence-based medicine)の導入により,治療における最も強力な心理的効用は,医師の個人的な力(人柄)であることが明らかにされた.そして,プラセボ(placebo,偽薬)は,最も有効な治療の一つであることが指摘されている.すなわち,プラセボ効果は,何か特別なことが,特別な人に発生する特異的現象ではないのである.事実,骨・関節疾患の診療で最も遭遇する自覚症状である疼痛に対して,プラセボ効果は,疼痛に対して何もしないよりは明らかに効果がある.経験を積んだ医師ならば,治療における心理的効用の重要性については,誰もが認識している.このプラセボ効果は,医師と患者との間に信頼関係があり,治療意欲がある患者で良好な結果が得られる.この事実は,治療ではプラセボ効果を無視できないことを示唆している.すなわち,プラセボ効果は,患者の期待や医師と患者との信頼関係の確立を通じて,治療効果を増強できる可能性がある.4.cure からcare へ従来の医療は,時間軸でみると「週」,「月」単位での短期の治療体系で構築されていた.すなわち,cure(とことん医療)の概念である.近年の超高齢社会では,患者は認知症や生活習慣病と骨・関節疾患が併存しているのが一般的である.このような患者を治療する場合には,「月」,「年」単位での長期の治