ブックタイトル骨・関節疾患の在宅医療

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概要

骨・関節疾患の在宅医療

2総論1. 骨・関節疾患診察の基本超高齢社会の到来は,政府には社会保障の課題への対策を,国民には健康に関する意識改革を迫っている.事実,近年,制度上からも医療,介護,福祉の一体化が進められてきた.また,健康を含む医療や介護に関する予算は,ますます逼迫してきている.その対策の一つとして,医療と介護の連携は欠かせなくなってきている.一方,国民も自らの健康は自ら保つ努力が必要であることを認識しつつある.そのような時代背景のなかで,医療自体も劇的に変化してきている.われわれ医師は,その変化を知り,それを実際の診療に生かす必要がある.ここでは,このような医療自体の変化を紹介して,骨・関節疾患の在宅医療に携わる医師に求められる認識について述べる.A.在宅医療に関連する最近の知見1.ストレスの疾患や医療に対する影響各種ストレスが,全身の各臓器の機能や疾患の発生に対してさまざまな形で,大きな影響を及ぼしていることが,近年,相次いで報告されている.これらの報告に基づいて,診療を考えてみる.まず,医師が患者と治療について話し合う場合,患者が疾患に前向きな気持ちで対処できるように配慮する.そして,現在の状況から希望を持てるような何かを患者が見いだす方法を一緒になって探す,という話しの仕方が大切である.次に,患者のストレス,抑うつ,怒りが強いと,薬剤の効果や寿命にまで悪影響を及ぼす.したがって医師は,患者がそのような状態にあると評価した場合には,患者のストレスや怒りの軽減を図る必要がある.これらの報告からいえることは,医師は,局所への対処(local management)に焦点を当てがちであるが,全身への対処(total management)が求められ