ブックタイトル診療ガイドラインが教えてくれないこともある

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概要

診療ガイドラインが教えてくれないこともある

Ⅱ 各 論90診 療 ガ イド ラ イ ン の ヒトとなり最新の診療ガイドライン:COPD(慢性閉塞性疾患)診断と治療のためのガイドライン 第4版編集:日本呼吸器学会COPDガイドライン第4版作成委員会発表年月:2013年4月利用対象者:呼吸器専門医作成手法: 記述なし(GRADEシステムなどの標準的ガイドライン作成プロセスは利用されていない)疾患定義 『COPD(慢性閉塞性疾患)診断と治療のためのガイドライン 第4版』(以下,COPDガイドライン)1)では,COPDを「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することで生じた肺の炎症性疾患」「呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞」と定義している.ここでいう“気流閉塞”は,スパイロメトリーにおける1秒量(FEV1)や1秒率(FEV1.0 /努力肺活量(FVC))の低下で示される閉塞性換気障害,機能性呼気障害を意味する.また,慢性気管支炎は症候により,そして肺気腫は病理形態学的に定義された疾患であり,COPDとは重ならない慢性気管支炎,肺気腫が存在するとされている.疫学データ 2004年の世界保健機関(WHO)の調査によると,COPDは世界の死因の第4位(総死亡の5.1%),2010 年度以降の日本の調査では死因の第9 位に位置している.住民調査によるCOPD疫学調査(NICE study)2)では40歳以上の10.9%に気流閉塞が認められたものの,気流閉塞を認めたうちCOPDと診断されていた割合は9.4%であった.この研究結果から,40歳以上成人の8.6%,約530万人がCOPDに罹患していると推測している.リスクと予防 予防策に関して,喫煙を開始させないための未成年者への喫煙防止教育や,敷地内禁煙化といった社会環境整備,マスメディアを通じた禁煙推進メッセージの重要性が示されている.外因性のリスク因子は,タバコ煙,大気汚染物質,有機燃料燃焼後の煙,受動喫煙,職業上の粉塵曝露を重要なものとしてあげている.また,内因性のリスク因子については,α1 -COPD(慢性閉塞性肺疾患)11