ブックタイトル診療ガイドラインが教えてくれないこともある

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概要

診療ガイドラインが教えてくれないこともある

1 信じていい診療ガイドライン,鵜呑みにしてはいけない診療ガイドライン3その結果の信頼度には高低があることから,より高いレベルの臨床研究デザインの研究結果をエビデンスとして採用し,推奨をつけるというものだった. しかしこの方式では,初めに推奨ありきで,それに都合のいいエビデンスを当てはめることができてしまう.たとえば,Aという薬の効果を検証した研究には,有意な差のあったものも差のなかったものもあるのに,推奨をつける際には(意識的にも無意識的にも)有意差のあった論文しか採用しないということが起きてしまう.また,ランダム化比較試験(RCT)の結果がいつでも信頼できるという誤った認識を植えつけることにもなる.エビデンスレベルやエビデンスピラミッドは,それぞれの研究が理想的なかたちで行われた場合の結果に対する信頼度の高低を示すが,実際に行われる研究にはバイアスの混入が避けられないため,個々の研究の質によってはヒエラルキーが逆転することも起こり得る.そのため,集めた研究の質の評価が必須なのである. そこで,2011年3月,米国医学研究所(institute of medicine:IOM)が「信頼できる診療ガイドライン(Clinical Practice Guidelines We Can Trust)」6)を発表し,信頼できる診療ガイドライン策定のための新基準を提唱した.ここには,「診療ガイドラインは,エビデンスのシステマティックレビュー(systematic review:SR)と複数の治療選択肢の利益と害の評価に基づいて,患者ケアを最適化するための推奨を含む文書である」とある.つまり,診療ガイドラインに掲載される推奨のエビデンスは,SRによって過去にそのテーマについて出されたあらゆる研究結果を網羅的に集めることが必要というのである. IOMの基準を満たす診療ガイドライン作成方法で国際標準とされるのが,GRADE システム7, 8)と呼ばれるものである. これはカナダのMcMaster 大学のGordon Guyatt とHolgerSchunemannらのGRADEワーキンググループがつくったもので,エビデンスのSRを行い,アウトカムごとに質を評価し,メタアナリシスによる効果推定値の確信性を評価して,それレベル研究デザイン高1 複数のランダム化比較試験のシステマティックレビュー(SR)2 ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)3 比較臨床試験(controlled clinical trial:CCT)4 コホート研究(cohort study)5 症例対照研究(case control study)6 症例集積研究(case series)や症例報告(case report)低7 エキスパートオピニオン(権威ある人の意見)a 臨床研究デザインとエビデンスレベルエキスパートオピニオン症例対照研究コホート研究比較臨床試験ランダム化比較試験メタアナリシスb エビデンスピラミッド図1-2 エビデンスレベル,エビデンスピラミッド注: 現在,研究デザインのみでその結果の信頼度を決めているこのエビデンスレベル,エビデンスピラミッドという考えは不適切であり,それに加えて各研究の質の評価が必要とされている.