ブックタイトル在宅医療をはじめよう 非がん患者の自宅での看取り

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概要

在宅医療をはじめよう 非がん患者の自宅での看取り

はじめに 世界一の高齢化率となっている日本ですが,団塊の世代の方が後期高齢者になる2025年には,死亡者が今より毎年50万人以上増える多死社会となり,医療クライシスが起こると危惧されています.それを回避するために,病院だけではなく,自宅や多様な施設で療養し,最期を迎えられるよう,国は在宅医療を強力に推進しようとしています.当事者の利益だけではなく,国民の多くが望んでいる方向と合致することからも,この在宅医療推進の正当性は証明できるでしょう.あくまで,国民の利益のために,選択肢の1つとしての在宅医療と在宅療養の場所の整備が求められているのです. 日本の医療は戦後,世界トップレベルを実現してきました.ただ,一定のレベルまで高齢化が進み,治そうとしても治らない病気や老化で亡くなっていく多死社会となり,医療そのものが転換期を迎えているのです.最期まで治し続けるだけではなく,治せなくても,しっかりと老化や死に向き合い,亡くなるまでよりよく生きることを支える医療への転換が求められています.その実現に向けて,在宅医療の手法や考え方は解決への大きな鍵となることでしょう. 近年,各地の医師会などから講演会に呼ばれることが増え,そこで「在宅医療を普及させなければならない」という言葉をよく耳にするようになりました.その際,私は「在宅医療をしたいと思う人にやってほしい」と話しています.そして,在宅医療の必要性ややりがいについてお話しします.在宅医療は今後の日本社会に必要な医療であり,やりがいのある素晴らしい医療です.「やらなければならない」と強制されるのではなく,やりたいと思う人が増加していくような普及活動をしていくべきだと思っています. 本書では,在宅医療をあまりご存知ない方にも興味をもっていただけるよう,外来診療をしながら在宅医療を始めた若い医師を主人公にしたマンガを,マンガ家のこしのりょう先生に描いていただきました.私は,在宅医療の質=理念(患者への熱い想い)×システム(ノウハウ)×制度の知識(人財育成)と考えています.本書でそれらを一体的にご理解いただければと願っています. 2016年2月永井康徳