ブックタイトル高齢者のポリファーマシー

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概要

高齢者のポリファーマシー

1 ポリファーマシーの実態と問題点30.76).要するに,高齢者の処方薬剤数は年齢ではなく合併疾患数に依存するという結果だが,過去の外来調査2)でも,東京大学医学部附属病院老年病科の入院患者調査(886 例,平均76±8 歳,平均1.5 剤/疾患,年齢とのr=-0.026)でも同様であった. このように,疾患1 つに対し平均1 ないしは2 剤を処方されている実態はどのように生じるのであろうか? 例えば,高齢者の最たるcommon disease である高血圧を考えると分かりやすい.日本高血圧学会による高血圧治療ガイドラインによると,まず生活習慣の修正を行い,それでも血圧管理が不十分であれば4 系統の降圧薬のどれかを処方し,それでもなお降圧不十分であれば2 剤さらに3 剤と併用することが推奨されている.実際には,高齢者の生活習慣の是正は困難であり,1 剤さらには2 剤と降圧薬を処方するに至る.決して高血圧のガイドラインが特殊なのではない.併用に至るステップが簡明に表現されているだけであり,他の疾患ガイドラインでも手順は同様である.つまり,疾患当たり1~2 剤は薬物療法のマニュアルやガイドラインに従った結果であり,標準治療の表れとも言える. しかし,次項に述べるようなポリファーマシーの問題点が高齢者には存在するので,多病ゆえに生じるポリファーマシーにも一定のブレーキが必要ではないか.最近は,高血圧をはじめとして高齢者対象の大規模介入試験の結果も明らかとなり,有効性の面では薬物療法に期待が大きい.その一方で,併用に関する安全性のエビデンスは乏しく,薬効を十分に発揮するための方策を考えていくことが重要である. ポリファーマシーにより生じる問題点は何であろうか? まず明らかなのは薬剤費の増大であり,医療経済的にも,患者側にとっても重要である.同時に,服用する(あるいはさせる)手間やQOL ということも無視できない.高齢者でより問題が大きいのは,薬物相互作用および処方・調剤の誤りや飲み忘れ・飲み間違いの発生確率増加に関連した薬物有害事象の増加である.薬物有害事象は薬剤数にほぼ比例して増加するが,急性期病院の入院データベース解析3)によると,6 剤以上が特に薬物有害事象の発生増加に関連した(図1?2a).まポリファーマシーの問題点